もう一つ特徴的なのが、ロボット掃除機に付きものの「サイドブラシ」がないことです。ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン氏によると、「サイドブラシは周囲のホコリを舞い上がらせてしまう場合がある」からだそうです。

 では、どのようにして部屋中のゴミやホコリを吸引するのか。本体下部の吸引口に備えた「ブラシバー」でゴミやホコリをかき集めて吸引するようです。そのために、吸引口を本体とほぼ同じ幅に広げているのが特徴です。

ダイソン 360 Eyeの本体下部。ゴミやホコリをかき集める「ブラシバー」が本体とほぼ同じ幅まで広がっています
ダイソン 360 Eyeの本体下部。ゴミやホコリをかき集める「ブラシバー」が本体とほぼ同じ幅まで広がっています

 部屋の隅にあるゴミやホコリをどのように取るのかは未確認ですが、恐らく吸引力だけで吸い取るのでしょう。そこで、吸引力の高い「Radial Root Cyclone(ラジアルルートサイクロン)テクノロジー」を搭載しています。

サイクロン機構で強力な吸引力を実現

 ダイソンといえば、掃除機の集じん方式にサイクロン式を採用していることで有名なメーカーです(編集部注:サイクロンについては記事「掃除機選び 吸引力のサイクロンか手軽な紙パックか」参照)。ロボット掃除機の集じん方式にもサイクロン式を採用しています。

 ダイソン 360 Eyeが搭載しているRadial Root Cycloneテクノロジーは、8つの小型サイクロンを同心円状に配置した、同社史上最もコンパクトなサイクロン機構です。複数の小型サイクロンを組み合わせることで、効率よく最小0.5μmまでのホコリを吸い込んだ空気から分離できるそうです。

ダイソン 360 Eyeのサイクロン部を取り外したところ
ダイソン 360 Eyeのサイクロン部を取り外したところ

ダイソン 360 Eyeのカットモデルを持つダイソン氏。左側の青い部分がサイクロン部
ダイソン 360 Eyeのカットモデルを持つダイソン氏。左側の青い部分がサイクロン部

 サイクロンを駆動するモーターは、ダイソンのコードレス掃除機「DC31」(09年発売)や「DC45」(12年発売)に搭載している「DDM(Dyson Digital Motor) V2」を採用しています。最新のコードレス掃除機「DC61/DC62」には最新の「DDM V6」を搭載していますが、DDM V2はそれの1つ前のモデルです。

 幅23×高さ12cmのコンパクトなロボット掃除機を目指すために、DDM V6よりコンパクトなDDM V2を採用したとのこと。DDM V6はDDM V2の1.5倍のパワーを実現しているモーターですが、ダイソン 360 Eyeにはそこまでのパワーが必要なかったということなのかもしれません。それでもダイソン氏によると「サイクロン式を採用したダイソン 360 Eyeは、一般的なロボット掃除機の約20倍の吸引力がある」そうです。

 強力な吸引力は、一方でデメリットもあります。それは「動作音が大きい」ことと「1回の掃除時間が短い」ことです。