三浦しをん 楽しく追求できることが夢へのヒント
大人はどうして働くの? と聞かれたら(3)「なんでそこまで?」っていうくらい夢中になれること
「大人はどうして働くの?」と子どもに聞かれたら、なんと答えますか。多くの人が「食べていくためだよ」と答えるでしょう。では宝くじに当たったらもう働かないのでしょうか。いいえ、それでも働くはずです。なぜでしょう。
子どもが発する素朴な疑問は、大人にも大切なことに気付くチャンスを与えます。「なぜ働くのか」という問いは、働くパパとママに対して、自分と家族を見つめ直す貴重な機会を与えてくれるでしょう。
天皇陛下の手術も執刀した心臓外科医・天野篤さん、テレビで人気のジャーナリスト・池上彰さん、『舟を編む』『まほろ駅前多田便利軒』などが人気の作家・三浦しをんさんら7人が働く意味について語る書籍『大人はどうして働くの?』から、日経DUAL読者に向けて、子ども向けにやさしく語った「子ども編」から、その一部をご紹介するシリーズです。
第1回「天野篤さん」、第2回「池上彰さん」に続く第3回目は、小説家の三浦しをんさんからの、子どもたちに向けての珠玉のメッセージです。
楽しく追求できることはキミに向いていること
小説家・三浦しをんさん
「好きな仕事」とか「自分に向く仕事」って、どうやったら見つかるんだろうね。
私は子どもの頃、よくわからなかった。どんな仕事が世の中にあるかよく知らなくて、自分がどんな仕事に就いたらいいのかイメージできなかった。「魔法使いになりたい」って思っていたくらいかな。
でも、子どもの頃から本がずっと好きで、大学生の頃に本屋さんのアルバイトをしたときに、「本に関わる仕事ならやっていけるかも」って思ったの。で、本を作る出版社に入るための試験をいくつか受けたんだけど、残念ながら入社できる出版社はなくて、少し落ち込んだ時期もあった。でも、試験の面接をしてくれた人から、「キミの文章は面白いから、書き続けていくといいよ」って言ってもらえたのがうれしくてね。古本屋さんで働きながら、小説やエッセーを書いて、そのうち作家になることができたというわけ。