ジャーナリストの治部れんげさんが、江戸川区の学童おやつ問題を取り上げて、共働き家庭のニーズや各自治体の課題を取材するシリーズ特集。2回目は日経DUAL読者へのアンケートも行い、保護者の意識を分析する。
(注)当記事発信後、品川区は平成28年4月より、国の動向や就労家庭の保護者の要望を受け、学童保育事業の見直しを行い時間延長を実施しています。またこれに伴い、下校時間が遅くなることから、5時を越えて利用している児童に夕食に影響のない量の間食の提供を開始しました。

 前回の記事((「学童におやつはいらない? 『住民のニーズ』とは」)は予想以上の反響をいただいた。例えば政治家。江戸川区選出の東京都議会議員・上田令子さん(みんなの党)はtwitterで「おやつ、いるに決まってます!」と 心強いメッセージを下さった。2人の男の子を育てたお母さんには通じるんだ……。やはり、子育て経験のある人に政策を作ってほしい 。

 「おやつなし学童問題」は江戸川区に留まらない。品川区在住でウェブディレクターのAさんは、保育園児の子どもの近い将来を心配している。品川区も江戸川区と同様の「全児童対策事業」を実施しており、働く親を持つ子どもは「おやつなし」で放課後、夕食までを過ごすことになる。

 「現在は保育園ですが、昼食の後に補食をとっていても18時お迎えの時にはもうお腹がすいています。現状そんな具合なので心配しています」

品川区のお母さん、行政に問い合わせたが…

 実はAさんは以前、区の担当部署に問い合わせをしたことがある。その時の回答は「皆さん、現状に満足している」というものだった。納得がいかなかったAさんは、江戸川区のおやつなし学童に関する記事(前回記事)を読み「やっぱり、これはおかしいのではないか」と考え、再度、区に問い合わせをしたという。

 区の回答「一日三度の食事が食生活の基本であり、現行の利用時間帯において、おやつが必要であるとは考えておりません」というものだった。

 民間学童を検討したものの、Aさんの居住区域は送迎サービスの対象外のため「1人で下校時に誘拐などが心配で」利用のハードルは高い。

 都内在住の方ならご存知かもしれないが、品川区は少子化対策には熱心な自治体だ。通勤の便も良いため、フルタイム共働き家庭も少なくない。それでもAさんのように不安を抱えながら働き続けている人がいる。