夏は外で遊ぶ機会が増えるが、それに伴うトラブルも多くなる。

 「4歳ぐらいまでの幼児のけがとして最近多いのは肘内障(ちゅうないしょう)です。肘と手首を持って整復すればいいのですが、親が行うのは難しいのでなるべく早く医療機関にかかったほうがベターです」と杉原院長は話す。

 肘内障とは、肘の関節が外れかかった状態。手を強く引っ張ったときなどになりやすく、腕をだらりと下げて動かさなくなるので一見してわかる。整復すれば治るので固定する必要はないが、痛みが続いたり腕の動かし方が不自然だったりするときは医療機関で詳しく診てもらう必要がある。

 蜂などの虫刺されは、針を抜いて流水で洗い、殺菌消毒薬で患部を消毒する。蜂の場合は皮膚に刺さって出ている針の根元をつかんで引き抜いたうえで、毒を絞り出すように刺された部位を周囲から圧迫する。10カ所以上刺されたり、呼吸が苦しそうな場合は受診するようにしよう。

 やけどは流水や氷などで患部を冷やす。冷やすことで皮膚深部への熱の伝達を防ぎ、痛みも和らぐ効果がある。最低20分以上、痛みがなくなるのをめどに行う。その際、市販されている冷却シートは熱傷の冷却用ではないので使わないようにする。やけどが広範囲におよぶ、やけど部分の皮膚が白、もしくは黒くなっている場合は受診しよう。

 海や川、浴槽でおぼれたときは、呼吸や意識の有無を確認するため、大きな声で呼びかける。泣き出した場合は、落ち着かせて服を着せてから受診する。叩いたりしても反応がなければ、ただちに胸骨圧迫と人工呼吸の一次救命処置を行い、救急車を呼ぶ。

 いずれも、子どもの状態を見て、落ち着いた対処を行えるようにしたい。杉原院長は「AEDの使い方、人工呼吸など心肺蘇生法などは知っておくと安心です。一方で、最近は社会全体の流れとして、大きなケガを回避できる身体能力を成長させるチャンスが非常に少なくなっています。実際、ボールを蹴って骨折してしまうようなケースさえ見受けられます」と指摘する。

(ライター 藤井弘子)