子どもの解答と解答例をマーカー片手に照合する

Fさん 塾の教科書に書かれている解答例に倣ったところで、文章力がつくのかどうか、親としては不安です。

小川 その感覚は正しいと思います。

Fさん それに、あの解答を子どもが真似ること自体、難しいと思うんです……。

小川 ではこうしてみてください。解答例と子どもの実際の解答を見比べて、要素として重なっていたところにマーカーで印を付ける。色が付かなかった部分、つまり、子どもが書こうとしなかったところを明らかにするんです。

 そこで問題文に立ち返って、「なんでこの要素(マーカーで印が付かなかった部分)が解答例に出てくるんだろうね」と確認していきます。こうするだけで「あ、すぐ前の文章にあったね」などと、解答例が理解できることもある。

 ただし、この作業を経ても「何でこの答えになるんだろう」というものもある。その場合は、ダメモトだと思って「なぜこれが出てくるのですか」と、塾の先生に質問してみてください。この質問に対してきちんと答えてくれる先生には、その後も質問するようにしましょう。しっくりくる答えを返してもらえなかったら、その疑問は捨ててしまって構いません。

Fさん うちの子どもは、問題文に理解できない言葉が出てくると、もう太刀打ちできなくなってしまうようです。

小川 まだボキャブラリーが少ないのかもしれませんね。そういうお子さんには、「言葉集」の作成をオススメしています。自分がそれまで知らなかった言葉を小さなノートにまとめておくのです。意味は書かなくても構いません。いちいち辞書を引いていたらこの習慣は続きませんから。あくまで、出合った言葉を書き留めておくだけでいいのです。もう一度その言葉に巡り合ったときに「先週やったあの問題にも出てきたな」と思い出すだけでも、少しずつボキャブラリーが増えていくはずです。

西村 社会科の勉強法についてですが、もし地理が苦手なら、白地図をコピーして、どんどん書かせてみてください。例えば山脈を書いてごらん、川はどう? という感じです。

 歴史について私が一番いいと思うのは、授業で習う前に(集英社の)『学習まんが日本の歴史』を読ませることですね。でも、全巻をドーンと与えられたら、子どもは負担に感じるでしょう。まず、一番面白そうなところ、例えば戦国時代あたりを買ってくる、面白く読んだ子どもに「続きを買ってよ」と言わせるのがベストな筋書きです。

小川 Fさんのお子さんは、全体を大きく捉えるのは上手なはずです。でも捉えた全体をそのまま覚えようとすると、ただの丸暗記になってしまって点数に結びつかない。まずは骨格を持たせて、そこに肉付けするという階段を用意してあげることが大切でしょう。