子どもに対して、あいまいな表現は使わない
先ほどの問題に戻りましょう。
「お客さんが来るからいい子にしててね」
「うん! わかった!」
この後、こんなことが起きます。
この後、お客さんが帰りました。ママは玄関のドアを閉めました。ドアの外に人の気配はありません。プライベートな空間が出来上がりました。ママは振り返って、後ろに立っていた太郎くんに何と言うでしょうか。もし、あなたがこのママだったら、何と言いますか。
「ねえ! 『いい子にして』って言ったでしょ!」とかでしょうか。
親のしてほしいことが子どもに伝わっていない以上、子どもの問題行動が減ることは期待できません。でも、今のような流れになると、親には子どもが悪いようにしか見えません。そして、親としては子どもが悪いことをした以上、叱るしかありません。
子どもからすれば理不尽な状況なので、「うん、わかったよママ」とは言い難いですし、ここでさらに、あいまいな表現で「ママに恥をかかせたいの?」と叱られたりすれば、子どもとしては何がなんだかよく分からなくなってしまいます。
はっきり分かることは、「ママが怒っている」ということぐらいです。
このように、あいまいな表現では伝わらないのです。さらに、伝わらない結果として、親は叱らないといけなくなり、疲れます。いいことはないです。
では、このお母さんは実際、どのように太郎くんに話をすればよかったのでしょうか? 次回、子どもに対してどんな言葉を使えば言いたいことがちゃんと伝わるか、具体的にお話ししていきます。
(イラスト/ふじわらかずえ)
『どならない子育て』(伊藤 徳馬 著/出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン)から転載。一部加筆し、表現を変更しました