教えたいのに伝わらない だから、叱りながらしつける、という悪循環

【質問】
 私達、親は、子どもに将来、どのように生きてほしいと考え、しつけをするのでしょうか? 「子どもに優しい人になってほしいから」とか、「他人に迷惑を掛けないように」とか、細かいことを言い出せば切りがないですが、総論で言うと、しつけをすることで子どもにどうなってほしいと思っていますか?

 

 もちろん、この質問に対する正解はありません。でも、私がCSPのセミナーで会った多くの親御さんの答えを要約すると、ほとんどの親御さんが「子どもがうまく生きられるように」「幸せに生きられるように」「まずまずの生き方ができるように」と考えるからこそ、子どもをしつけているという意識のようです。

 つまり、私達がしつけで実現したいことは特別なことではなく、普通のこと。

 親になると自然に、これまで生きてきて、経験して、学んだことを、「こうしたらお前もうまくやっていけるよ」と子どもに伝えようとするんですね。

 「挨拶をしなさい」 → なぜ? → 挨拶をしたほうがその子はうまく生きていけるから。
 「約束は守りなさい」→ なぜ? → そのほうがうまく生きていけるから。

 これがしつけです。「こうやったらいいんだよ」と教えるのがしつけなわけです(CSP的にちょっと硬い表現で言うと、「しつけとは、教育、そしてトレーニング」です)。

 教えるためには、まず相手にこちらの言い分を伝えられないと何もはじまりません。ところが、子どもにはなかなか伝わらない。親が何回注意しても、悪いところが直らない。言っても聞こえないふりをしたり、言い訳を始めたりして、伝わらないことのほうが多かったりします。

 そうなると、いつの間にか親のほうも叱る頻度が増え、

 子どもを強く叱る
  ↓
 子どもが泣く
  ↓
 子どもが反省して、「ママ(あるいはパパ)ごめんなさい」と言う
  ↓
 親は「まあ伝わったのかな」と思う

 というように、叱ることで成立するしつけが多くなり、「叱る」=「しつけ」となっていきがちになります。

 ですが、繰り返しますが、しつけの目的は教育であり、伝えることです。叱るのは、しつけの手段であって、目的ではありません。

 では、なかなか話が伝わりにくい子ども達に、どのようにすれば伝わるようになるのでしょうか。

画像はイメージです
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