仕事を優先し、結婚・出産を後回しにする女性の増加に伴い、不妊のリスクも増しています。「共働き夫婦で、第1子はできたけれど、第2子がなかなかできない」という“隠れ不妊”に悩んでいる人もいます。妊娠に関する正しい知識を、アラフォーで2児の子育て真っ最中、アメリカ・ボストン在住の産婦人科医、樽井智子(たるい・ともこ)さんが、連載「USA発 ともこ先生の DUALな妊活A to Z」で教えます。

男性は「不妊や少子化の原因は自分にはない」と思っている

 2014年6月の東京都議会本会議による騒動、東京都議会ヤジ問題発生からはや2カ月以上が経ち、世間の関心もすっかり薄れてしまいましたが、この問題を通して、日本の不妊・少子化問題と日本人男性の意識を中心にお話ししたいと思います。今回取り上げたいテーマは、以下の2点です。

 1) 日本におけるセクハラの現状、アメリカとの比較
 2) 少子化や不妊は女性の問題と思われていること。そして、男性不妊の現状について

セクハラに対する日本の常識は世界の非常識!?

 最初に、今回の騒動でなされた発言を振り返りながら、日本におけるセクハラの現状について、アメリカと比較して考えたいと思います。

 事件が起きたのは、みんなの党所属の都議会議員・塩村文夏氏が、妊娠や出産に悩む女性への支援策に関して、都側に質問をしていたときのこと。

 「自分が早く結婚したらいいじゃないか」「自分が産んでから」「がんばれよ」「先生の努力次第」と発言した議員がいました。さらにその後「不妊の原因は、女性だけでなく男性にもあります」と塩村議員が発言すると、「やる気があればできる」といったヤジが飛びました。

 自民党所属(当時)の鈴木章浩議員は、「自分が早く結婚したらいいじゃないか」は自分の発言であったことを認め謝罪しましたが、その他のヤジについては、発言者は名乗り出ることもなく、謝罪もなく、都議会は閉会してしまいました。

 このヤジ問題に関しては、国内外で大きく報道され、特に世界に日本のセクハラ体質を改めて印象付けてしまったと言えるでしょう。

 この種の発言は、明らかにセクシャルハラスメントであり、世界の常識からすれば「完全にアウト」です。にもかかわらず、都民の代表である都議会議員達がそういった意識を持っていなかったことを、日本人としてとても残念に思います。