アメリカではセクハラを理由に即日解雇されることも

筆者の職場に貼られていた「セクシャルハラスメントポリシー」
筆者の職場に貼られていた「セクシャルハラスメントポリシー」

 筆者の暮らすアメリカでは、あらゆる差別の撤廃が、公的な場では徹底されています。年齢や性別、人種、宗教などによって個人を差別することは違法とされているのです。 

 例えば、日本では、就職の際に年齢がネックになることが多々ありますが、アメリカでは、就職や転職の際に提出する履歴書には、性別や年齢は決して書きません。面接の際にも、結婚しているか、子どもがいるかどうかなどを含め、年齢や性別、人種、宗教、家族に関する質問は禁忌であり、そういった質問があった場合は、採用に差別があったとして、応募者が相手を訴えることができます。

 学校や、職場などにおいても、セクシャルハラスメントに対して断固たる姿勢が示されています。例えば、筆者が勤めていた病院では、廊下や休憩室、その他人々の目につくところに、セクシャルハラスメントポリシー(性的嫌がらせや性的攻撃に対するポリシー)が貼られていました

 そこには「No tolerance policy (毅然たる対応が取られる)」と明記されており、セクハラが認められた場合は、即時解雇を含む対応が取られます。実際、著者のアジア系同僚が、同僚の女性に対してセクハラ発言をしたということで、即日解雇になった事例がありました。セクハラをした人の経歴や現在の身分などは一切関係なく、「即アウト」。例外なく、No tolerance policyが実行されるのだと、改めて実感した出来事でした。

 日本の学校や会社でも、セクハラに関する規定はあるのでしょうが、建前と実際の運用の間には開きがあるのではないかと感じます。少なくとも、人々、特に男性の意識の中には、セクハラに対する認識の甘さがあるのではないでしょうか?