ミュージカルやバレエ、クラシックコンサート……ぜひ子ども達にも体験させたいけれど、「自分もあまり行ったことがないから」と二の足を踏んでいるママ&パパは多いはず。しかし、子ども時代の体験は何ものにも代えがたい機会。そこには子どもの人生を左右する出会いがあるかもしれない。また最近は、子どもにも鑑賞してほしいと考える主催者も増えてきた。そこで、初心者ママ&パパのために、これらのエンタテインメントを楽しむための基礎知識を解説する。
 第1回(「未体験の親子でも楽しめる子連れミュージカル入門」)ではミュージカルを楽しむための基本知識を紹介したが、後編は実践編。数ある劇団の中でも、親子向けのサポートが充実している劇団四季のサービスを例にとって紹介する。

 前回の記事では、「親子でミュージカル鑑賞」の楽しさやノウハウをご紹介したが、まだ体験したことのないパパ、ママにとっては、「そうは言ってもうちの子、まだ小さいし…大丈夫かな?」「初めてだし、じっと静かに座っていられなかったら?」など、魅力より不安のほうが勝ってしまうかもしれない。

 そんなミュージカル未体験の親子に、筆者がお薦めするのは劇団四季の舞台だ。

50年の歴史を持つ劇団四季のファミリーミュージカル

 劇団四季はもともとストレート・プレイ(台詞劇)の劇団として誕生し、1964年の『はだかの王様』で、親子で楽しめるファミリー・ミュージカルを手掛け始めた。長年の経験を生かし、「老若男女、全ての層」を迎え入れる態勢が、ハード面、ソフト面の双方で整っている。

 子ども向けのサポートもしっかりしているので、ミュージカル未体験の親子にとっても安心して見られる劇団と言える。

劇団四季のミュージカルには親子連れも大勢訪れる
劇団四季のミュージカルには親子連れも大勢訪れる

 とはいえ、親子でミュージカルに行ったことのない人にとって、具体的にはどんなサポートが受けられるのか知りたいところだろう。そこでここでは、筆者が「子連れ客に嬉しい」と考えるポイントを紹介する。

●子どもが泣いても安心の「親子観劇室」

四季劇場「夏」の親子観劇室。ガラス面が広く舞台もよく見える
四季劇場「夏」の親子観劇室。ガラス面が広く舞台もよく見える

 観劇中に子どもがもし泣き出したら…。これは小さな子どもがいる親にとって共通の心配事だろう。

 劇団四季は、上演中に子どもが泣いたり騒ぎ出した際、移動して利用できる観劇スペースを用意している。これは「子どもが声を出したら」と心配な親にとって、大きな心の保険になる。

 東京の四季劇場[春][秋][夏][海]、北海道四季劇場、大阪四季劇場など、劇団四季の専用劇場には1階席後方にガラス張りの親子観劇室がある。

 実はこういったスペースを設けている劇場は、世界でも珍しい。筆者が以前、ブロードウェイの演出家ダニエル・カトナー氏にインタビューした際に親子観劇室の話をしたところ、「ブロードウェイの劇場にもあれば僕も3歳の子を連れていけるのに」と真顔で羨んでいた。