定年を迎える団塊世代に人気の炊飯器とは

──2度目の変化とは?

 2度目の変化は「釜」の変化です。 2006年、三菱電機が本炭窯の炊飯器を発売しました。大きな炭の塊から、内釜を削りだしたんです。当然、コストもかかります。当時の炊飯器の売れ筋価格は2~3万円だったのに、この製品は10万円を超える価格で販売されました。

 実はこの時、三菱はプレスリリースを出さないで、商品を店頭へ並べました。メーカーとしても手探りだったのでしょうし、本炭釜を作るのには手間がかかるので数が作れないという事情もあったようです。

 しかし、この製品が大ヒットしたのです。

 ちょうど団塊の世代のいちばん上の世代が定年になる時期で、外で食べていた男性達が家でごはんを食べる回数がふえたんです。彼らはお金も持っているし、食へのこだわりもある。そういう人たちに支持されたのです。

釜の作りにこだわった炊飯器は、団塊の世代の男性に支持された
釜の作りにこだわった炊飯器は、団塊の世代の男性に支持された

 この製品がヒットしたことで、各社から様々な素材の釜を採用した炊飯器が登場します。

 そして最近、新しい展開が見られます。それが小容量の高級モデルです。