「仕事と子育ての両立」―これまではもっぱら女性たちが悩んできたテーマが、今、男性の眼前に迫っている。親も上司も先輩も経験してこなかった境遇。まだ「男は仕事をしてナンボ」の組織の中で働きにくさや孤独感を感じつつ、会社では悩む姿をおくびにも出さず、重圧にも笑顔で耐えている…。働きながら子育てをする男性たちの日常、そして滅多にもらさない彼らの汗と涙と笑顔の本音を、書籍『男たちのワークライフバランス』からお届けします。

    突然のトラブルで綱渡りの生活

     「共働きの夫婦は、子どもの病気など、突然のトラブルに弱い。自分たちの仕事のこともあるので、おろおろしちゃいます」と、加山さん(「オレはキャリアアップを諦めたわけじゃない!」)は話す。

     確かに、妻が専業主婦の場合、子どものことは心配だが、妻がしっかり留守を預かってくれるので、夫はいつもの生活と変わらずに出勤できる。

    「夫と妻が、それぞれのポジションでがっちり守る。それはそれで強みなんだな」と、思ってしまうことがある。

     小さな子どものいる共働きの夫婦は、毎日綱渡りをしているようなものかもしれない。お互いの健康を大前提として、どこかひとつでも欠ければ、今のままの生活は成り立たなくなる。

     松島さん(「誰よりもイクメン!」だけど、職場で置いてきぼり)も「今、僕が娘のお迎えにいけるのは、僕の職場がたまたま夜7時から8時で帰れるからなんです。これがもし10時とか11時とかの職場になったら、もうこの生活は完全にアウトです」と言う。