0~2歳を4クラスに分け、一人ひとりの成長を大事に

 0~6歳まで6クラスに別れているが、1学年ごとではないのが面白いところ。0歳から2歳までを4つに分けており、まだ月齢が比較的小さい0歳児7名、0歳でも月齢が上の子から1歳前半が8名、1歳9名、2歳14名という編成。子どもの興味や関心、その日の様子によりクラスの壁を越えて行ったり来たり、その子の安心できる居場所で生活することもあるという。まだネンネやハイハイの子たちの部屋には畳が引いてあったりと、子どもたちの動きや活動を考えたつくりになっていた。先生達はそれぞれ3人と手厚い体制。男性保育士も比較的多い。

 その上は3歳で1クラス4、5歳合わせて1クラスとなっていたが、活動内容などによって一緒に活動したり別の分け方をしたりと柔軟だそう。

 認可園のため保育料は自治体の規定に沿っている。月曜から土曜7時半から20時半まで開園し、全部で約70名の子どもが通っている。

通称“鳥博士”に来てもらって鳥の羽の構造や生息について楽しく学ぶ子どもたち。このあと一緒に巣箱も作って設置した
通称“鳥博士”に来てもらって鳥の羽の構造や生息について楽しく学ぶ子どもたち。このあと一緒に巣箱も作って設置した

 「子どもに一番影響を与えるのは、やっぱり保育者。人的環境が一番重要です。主体は子どもですが、子ども同士をつなぎ合わせたり、子どもの心が動く機会を用意してあげられるには、保育士もいつも同じでは意味がないのです。大人だって完ぺきな人間なんていません。でも、その完ぺきじゃない中で、お互いに自分らしく本音でどうやって語りあっていけるのか、どうやって子どもを理解し、対話していくのか、保育者同士も気づきを共有し、日々話し合いながら高めていける環境を大事にしています。まずは、子どもに好かれ、子どもに認めてもらうことが最初。子どもたちのバックグラウンド、成長歴の全てを受けとめてあげるように話しています。保育園見学に来る方に一番見て欲しいのは、保育者の笑顔です

 と岩井園長。自身も孫を持つ祖母として、自分の孫や子どもを入れたいと思える保育園にしていきたいと話す。

 運動会もお遊戯会もしないが、子どもたちの毎日の成長をあたたかく静かに見守る園。コミュニティとつながり、子どもたちの声を活かした取り組みなど目新しいようにも見えるが、実は、中心にいる子どもの一瞬一瞬を大事にするという一番基本で素朴なことに立ち返っているように感じた。しかし、この一番の基本を本当に実行し、それを続けていくことに多くの園が苦戦し、忘れがちになっているのではないかと考えさせられた園だった。

(取材・文/岩辺みどり)

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