2014年8月4日、今年で8回目を迎える「キッズデザイン賞」の発表会が東京・六本木ヒルズで行われた。この賞は、さまざまな製品や施設、サービスなどを対象に、子どもの安全と健やかな成長・発達に役立つデザインを顕彰する制度だ。今年の受賞作品をレポートする。

 キッズデザイン賞は、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が主催し、「子ども達の感性や創造性を豊かにし、親が安全に楽しく安心して子育てができる社会環境を整えていくこと」(安倍晋三内閣総理大臣)を目的に始まった。

「子どもは未来の主人公」

 「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」の3つのテーマから構成されている。

 子ども用の製品やサービスにとどまらず、あらゆる年齢層が使うものを対象とするのが特徴。子どもへの配慮、子ども視点を持った良質な製品や空間、サービス、調査研究活動を対象として表彰してきた。

第8回キッズデザイン賞が発表された
第8回キッズデザイン賞が発表された

 「子どもはやがて大人になる。子どもは未来の主人公だ。子どもへの働きかけは、未来への働きかけ、社会への働きかけと同じ」とキッズデザインの重要性について語るのは、審査委員長の益田文和氏(東京造形大学教授)。今回の審査では「日本の子どもだけでなく、海外でも通用するデザイン」かどうかも重視されたという。

 こうした視点で選ばれたのが最優秀賞をはじめ、優秀賞、奨励賞、特別賞などの36点。この中から、テーマごとにさらに何点かピックアップして紹介しよう。

子どもの自動車事故をなくすためのデザイン

 今年、過去最高の応募となる400件以上の候補から最優秀賞として内閣総理大臣賞を受賞したのは、マツダ株式会社の「MAZDA TECHNOLOGY FOR KIDS」。

 子ども連れにとって自動車は強い味方だが、子どもの予期せぬ行動で事故に遭わないか心配だ。「MAZDA TECHNOLOGY FOR KIDS」は自動車メーカーであるマツダが子どもの事故をなくすために取り入れた技術。今回は、人気の車種「CX-5」などで採用されている4つの技術が受賞した。

子どもの身体的・心理的な特徴に基づいて自動車の安全性を高めた四つの技術が評価され、内閣総理大臣賞を受賞した「MAZDA TECHNOLOGY FOR KIDS」
子どもの身体的・心理的な特徴に基づいて自動車の安全性を高めた四つの技術が評価され、内閣総理大臣賞を受賞した「MAZDA TECHNOLOGY FOR KIDS」

 1つ目は、死角をなくすための工夫。ドライバーから子どもの姿が死角になりやすいフロントガラスの脇の柱とドアミラーの配置を特別に工夫している。特に、自動車が左折する際は、交差点を渡る子どもの姿が見えにくいことがよくある。身長100センチ程度の5歳児を基準とし、死角をなくすことを意識してデザインしたという。