音楽再開への罪悪感はある でも、人生の楽しみ方を子どもに伝えたい

 だから、うちは本当の意味では「共働き」じゃないと思っています。 私のは、仕事というよりも、責任が大きい趣味みたいな感じ。責任を持って、中途半端なことはしない、始めたら徹底的にやると思いながらも、限りなく趣味に近いスタンス。

 だから、音楽活動をすることの罪悪感も大きかった。私が仕事することで、うちに何かあるわけじゃない。ただ、私は好きなことをさせてもらってるだけ。

 だからこそ、私が仕事を始めたことで家のことが滞らせてしまうのは絶対にないなと思っているんです。家のことしながら音楽のことを考えて、音楽のことを考えながら、子どもたちのことを見落とさないように、それはそれは、必死です(笑)。子どもたちを学校に遅刻させちゃいけない、お弁当を作れないことがあってはいけない……ってね。あくまでも、家族のことをちゃんとする前提で仕事する……なんて言いながら、不備だらけの母親ですが。

 じゃ、なんで仕事してるんだと聞かれれば、それはやっぱり、楽しいから。そして、お母さんだって、大好きなことがあって、好きなことがあるから毎日が楽しいんだよ。だから、子どもたちにも、好きなことを見つけてほしいんだってことを伝えたいから。

 娘ははじめの頃「今日も仕事でいないのー?」なんて寂しそうに言ってましたが、最近は、私が楽しそうに仕事しているのを見て「楽しんでやれるのっていいよね。神様からもらっている特別な何かがあるなら、皆に見せてあげたほうがいいよねー」なんて言ってくれます。

 私は、どうせやるなら、子どもたちに嫌々やっているところは見せたくない。だから、今は再び始めた音楽を頑張りたい。家で専業お母さんしてるのも超楽しい。でも、音楽という仕事をするのも超楽しい――。でも、もし、また何かの理由で続けることができなくなったら、その時はきちんと仕事を“おかたづけ”して、また家に戻ろう。そんなふうに思っています。

(ライター/松田亜子、撮影/稲垣純也)