定塚 えいやっ、ドンで、能力が十分育成されていない人をいきなり管理職につけるのは、本人にとっても組織にとっても良くない。能力がある人をいかに見極めて引き上げられるか、育成できるかが大切。

 特に公務員の場合は潜在能力があるんだけど、そういう仕事についてこなかった、仕事の経験をしていなかった人たちが、Ⅰ種だけじゃなくて、Ⅱ種やⅢ種にもいます。Ⅱ、Ⅲ種、地方の人も含めて、ぜひ管理職にステップアップするように意欲を持ち、職場としても育ててほしいです。

羽生 その光る原石を見つけて輝かせるって、すごい。

定塚 基本的にはみんなできると思うんです。どうしても嫌だという人は仕方ないけど、声をかけられたらやってみようかなという人は、どんどんステップアップさせていくということができるといいですね。

母であることが、管理職の仕事に生きること

羽生 男勝りのブルドーザーじゃないと出世できないと思っている人も多かったかもしれませんが、お話をうかがって、私でもできるのかなと思う方が増えそうです。

定塚 そうですね。私でもできたぐらいなので、大丈夫だと思います。私も若いうちは、私じゃとってもできない。バリキャリの先輩たちと比べて私じゃ無理だわと思っていたので、大丈夫だと思います(笑)

羽生 母であることは関係ありますか。あまりないですか?

定塚 母であることによって忍耐力が養われますよね(笑)。子どもは思うようにならないし、思うように勉強もしてくれないし、これはちゃんとやってって言ったのに、片づけてないとか、いろんなことがあるから(笑)。そういう意味で忍耐力がつきましたね。多分、部下を見る目にも影響しているでしょうね。若い係長や係員たちを見ていると、自分の子どもたちのような気がしちゃう(笑)。それはやっぱり母であることの経験なのかもしれないですね。

現在、中央官庁では各府省合同の「経験者採用試験(係長級・事務)」を実施している。大学卒業後2年以上であれば受験可能。試験は1次試験が公務員として必要な知能分野・知識分野の筆記試験(30題、2時間20分)と勤務経験などに関する経験論文試験。2次はグループ討議による政策課題討議試験と面接(人物試験)。受付期間は2014年8月15日~21日(インターネット)。詳細は人事院ホームページ

(写真・構成/日経DUAL編集部 市川史樹)