子どもにとって「読む」は「眺める」ことと同義

西村 確かに、家族間のお喋りはものすごく重要なことですね。

 この子はだいぶ頭のいい子です。そのだいぶ頭のいい子が文章をどう読んでいるかに興味があります。というのは逆に言うと、算数の問題をあまり読んでいないのかもしれない。

 5年生のこの時期、算数の問題文は長くて3行です。これが6年生になるともっと長くなる。そうなったときにこの子は、算数が分かっているのに点数が取れない子になってしまう恐れがあります。

 どういうことかというと、子どもにとって「読む」ということは、「眺める」とほとんど同じなんです。ぱっと文章を見て、数字を見て「過去に習ったこの問題と同じ」と決めつけて解いてしまう子が非常に多い。たぶん、この子も一部そうしているんじゃないかな、と考えられます。

 特に小さいころからいろんな学習をしてきた子、幼児の英才教育をしてきた子はそうなりがちです。フラッシュカードなどの学習の結果、速読的に、ぱっと問題を見て判断してしまう。そんな傾向のある子どもに「もっとちゃんと読みなさい」と言っても、「ちゃんと読んでいるもん」と言われておしまいになってしまう。

 こんなときにぜひ使ってもらいたい質問の仕方があります。

 例えば、問題文を読ませた後に「何が分かっているの?」と笑顔で尋ねる。次に「何を聞かれているの?」と、数学の仮定と結論を優しい言葉と優しい表情で聞くのです。

 これを重ねることで、問題文を隅から隅まで読める子になっていきます。もともと考えることの好きな子なら、正確性、確実性も上がっていくでしょう。

 私はAさんのお子さんに高い可能性を感じます。

小川 Aさんについては、親として頑張ろうとするから泥沼にはまっていると感じます。子どもの学習で、うまくいっているところを伸ばすという姿勢に変えればいいのです。得意なところを生かして、理科や社会科を伸ばすのです。

 テストが返ってきたら、まず○が付いているところを一緒に喜ぶ。「昨日やったここはできたね。あと、こことここが○に変わったら上のクラスに戻れるよね」と、×を少しずつ○に変えていきましょう。

* 次回に続きます。

(ライター/阿部祐子、撮影/鈴木愛子)