「おやつのない学童は無理」鍵っ子を選択した子どもも

 「おやつのない学童は無理」と判断し、鍵っ子を選択した子どももいる。現在小学5年生のCくん。小学3年まで「すくすく」に通っていたが、おやつがなくなったことで生活時間が崩れ、ドカ食いやダラダラ食いが増えてしまった。「身体も大きいから、おやつなしは難しかった」と母親で医師のDさん。

 Dさんの目に、江戸川区の子ども政策は「10年間かけて変わってきた」と映る。キーワードは保護者間の断絶だ。「保護者会に参加する人が減り、現役保護者の関心が低くなった。こうした状況の延長で、おやつがなくなる時も『困る』と訴える基盤がなかった」。

 実際、Dさんたちと「グループになって」行政に意見を言っている保護者は10数名に留まり、これを区側は「少数のうるさい人たち」と片付ける。一方、取材を進める筆者のもとには「おやつがなくなって困っている」とか「別の自治体に引っ越した」という元江戸川区の保護者の声が入ってくる。おやつ以外でも「混雑しすぎて子どもは行きたがらない」といった意見も聞いた。皆忙しくて「困っている」ものの、何をどうしたらいいか分からない。仕事と家庭の両立で日々、いっぱいいっぱいなのだ。

 もちろん、行政も一枚岩ではない。Aさんが調べた江戸川区教育委員会議事録によると教育委員会の委員の中には保護者や子どもの意見を聞いた方がいい、と考える人もいるからだ。こうした声に対し、教育長は、保護者や子どもの意見を聞く必要はない、という立場を取った。

「夕方になってきますと、当然大人だっておなかがすくわけで、こういう質問をすれば、すいているよというふうに、多分答えるんだろうなと判断できるような気もするんですよね。(中略)

 結論で何が言いたいかといいますと、子どもたちにこういったアンケートをとる必要があるのかなというふうに、私自身は考えております。」(平成25年第15回江戸川区教育委員会定例会会議録)より。