昼食以降、夕食までの6~7時間、水以外、口にできないのがどういうことか。そもそもこの原稿を書いている17時15分現在、午後になってから2杯目のアイスコーヒーに手を伸ばしている筆者には耐えがたい。そして小さな子どもを持つ親なら、仕事をしていようといまいと、容易に想像がつくだろう。

 筆者の子どもは6歳と2歳半。保育園では栄養バランスを考慮した昼食と手作りおやつが出る。それでも、お腹をすかせた2歳半は、18時台に帰宅するや否や「パン!パン!」とか「しらすご飯!」と要求する。

 2歳と小学生は胃袋の大きさが違うから、来年小学校に上がる6歳の子どもに聞いてみた。「ねえ、もし、保育園でおやつが出なかったら、どうする?」。少し考えた末の答えは「帰ったらすぐ、パパとママが見ていないすきをねらって、おやつを、ささっと食べちゃう」。

 まさにその通りのことをした子が「すくすく」にいた。区に提出された陳情書には、空腹に耐えかねて、こっそりビスケットを持っていったら先生に見つかって叱られた、という。詳しくはこちらのサイトをご参照。

住民のニーズとは何か

 「すくすく」でおやつがなくなった経緯は、こんな具合だ。

 「まず、おやつが出る時間が後ろ倒しになりました。16時台だったものが、どんどん遅くなって17時に。お迎えの早い子は帰ってしまうから、アンケートを取れば『おやつは不要』という回答が多くなるのは当たり前。こういうデータをもとに、区は『すくすくでおやつのニーズは少ない』と結論づけたのです。本当のニーズを知るためには、17時台に、すくすくにいる子どもを対象にアンケートを取らなきゃいけないはずなのに」(Aさん)。

 こうした流れから分かるのは「放課後事業」により「学童全入」を実現する一方で、住民全体から見れば少数に属するフルタイム共働き家庭のニーズを「少ない」とみなし、取りやめにする区のポリシーだ。江戸川区は23区内で唯一、公立保育園で0歳児保育を手掛けていない。こういう事実からも、何を優先し何を不要と考えているか伝わってくる。