受験家庭の空気を改善するのは、まずはお母さんが自分をいたわることから

西村 小川先生の個別指導に対して、私がやっている家庭教師が圧倒的に有利なのは、ご家庭の様子が分かるということです。

 状態のいいご家庭の家の中は雰囲気がとても明るい。逆にうまくいっていないご家庭は、どよーんとした空気が漂っている。家が新築か古いか、部屋が片付いているか散らかっているかは全く関係ありません。

 なぜそんなに差が出るのか? その最も大きな要因は、お母さんの表情なんです。固まっている、眉間にしわが寄ってしまっている……。それだけで「ストレスがたまっているのかな」「子どもとの関係がギクシャクしているのかな」と感じます。お会いした瞬間に分かります。

 小川先生の「できないと言う」ではないですが、私も皆さんにおすすめしたいことがあります。寝る前に鏡に向かって、自分をいたわってあげてください。「あなたは今日、よく頑張った」「あなたは偉い」と2~3回言うのです。ちょっと怪しいですか?(笑)

 その効果は、まずよく眠れるようになる。そして、夫と子どもに対して少し優しくなれること。気持ちを落ち着けると、見えるべきものが見えてくるのです。

 物事には、すべて「裏と表」があります。欠点の裏側には、長所がある。

 例えば、自分の子が、ドタバタしていてミスの多い子だったとする。でも逆から見れば、雑だけれど、物事をスピーディーにこなせる。雑でミスが多いのは欠点としても、スピード感があることは大きなメリットになります。ということは、今のスピード感のまま、少しだけ丁寧にこなせるようになれば、成果は大きく向上する、という見方ができます。

 今見えている事実は、少し変えれば長所にできる……。そんな見方ができるかできないかも、お母さん、お父さんの気持ちひとつです。

 私は家庭教師に入る現場で、常に「お母さん、頑張っていますね」と声掛けをしています。自分を労うことを、ぜひ今日から始めてください。

小川 まずは先生に相談するときのポイントをお話ししました。さて次回から、実際の相談内容に触れながら、一緒に解決の糸口を探っていきましょう。

(ライター/阿部祐子、撮影/鈴木愛子)