塾や学校の先生に相談する際は、とにかく具体的に聞く

小川 今日参加されている保護者の方から事前にメールで相談内容を送ってもらっていますので、その文面のまま共有していきたいと思います。

【Iさん(小学5年生の母親)】
 国語の問題文の取り組み方。理科、生物分野。時間の取り方。休憩の取り方。親の関わり方。

小川 この相談を読まれて「質問としては素っ気ないな」と思われたでしょうか? 私は逆です。この相談を書いたお母さんは、相当考え込んだのだろうと推測します。恐らくこの方は、あまりにあれこれ考え過ぎて、この表現までに凝縮されてしまった。これ以上言葉が出なくなってしまったのではないでしょうか。

 その結果、この相談内容を見るだけでは、私達講師には子どもの姿が全く見えてこなくなっている。でもプロですから、想像である程度のアドバイスをしてしまうのです。そしてIさんも、想像で納得する。でもそれは本当の「正解」からかけ離れていることが多く、結局家に帰ったら、従来の自分のパターンを繰り返してしまうことになります。

 私達は、ここから脱出しなければなりません。理解は、とことん具体的でなければなりません。

西村 そうですね、私はIさんに、理科の学習法なら「いきなり問題を解き始めていないですか?」と聞いてみたいですね。

 理科は暗記教科でなく、知識と知識が連動する、つながりこそが大切な教科です。だから塾から帰っていきなり問題を解くべきではないのです。塾から帰ったら、習ったところを復習して、流れをつかむ。覚えるべきことを覚える。宿題の問題を解くのはチェックの意味です。大切なところを飛ばしてチェックだけをしていても、成績は上がらないですよね。

 短い相談文ですが、たぶん、理科の勉強の課題はそこにあるのではないかなと思いました。

小川 確かに講師であれば、どういう勉強方法をしているのかを聞くかもしれませんね。例えば、理科の生物分野でも、4年生と5年生では学習内容が大きく異なります。「4年生で理科が苦手」というのと、「5年生になってからの苦手」は、意味が違ってきます。

塾などの先生に相談するときは、6W2Hをそのまま語るようにする

西村 4年生の「理科が苦手」は、自然に身近に触れてこなかったといった経験や知識の不足が原因であることが多いのですが、5年生になると、発芽、光合成といった仕組みの学習になっていく。興味がないと、つまずきやすくなります。

小川 「その教科がどの時期から苦手になったのか」ということと、学習のとき親は隣にいるのか。隣にいるとしたら、問題を解くことに関わるのか、もしくは見守るだけか、といった情報も必要になってきます。

 答え合わせはどうやっているのかも聞いてみたい。そのほか、学習の悩みについて塾の先生に相談したときに、どんな答えが返ってきたか……など、実は、ありとあらゆることが知りたくなるわけです。

 「いつ、どこで、誰が、誰に、なぜ、何を、どのように、どれくらい」といった、6W2Hに行き着きます。実際に起きていることを、改めて家族で見直す。それをそのまま相談で語っていただくのが、お互いにとっての早道です。