そして、たとえ自分の子どもに合いそうな幼稚園が見つかったとしても、そこが親側の事情に合うかどうかという大きなハードルが待ち構えている

 ママたちのつぶやきは続く。

 「何十分もかけて通うようなとこ行っちゃったら、毎日の送り迎えできるのかな。仕事なんてやってられなくなりそう」
 「親がかり出されることがすっごい多いんだって。どうしよう。やっぱり無理かな」

飛び交うウワサ、いちいち惑わされる親心

 難関幼稚園になると、倍率が8倍、10倍というところもあるらしい。どなたかのご紹介があったほうがよいとか、ご紹介があっても受からない場合もあるとか、色々なウワサが飛び交っているようだ。熱心な親ごさんになると、子供が生まれたときにすぐに幼稚園関係者にあいさつに行く人もいるのだとか。

 説明会には紺のスーツで行くのが常識らしい。本当の本当に、会場に一歩入ったら、部屋中、紺一色だったらしい。

 お受験対策の塾がまた色々あるとか。有名なお受験塾に夏期講習だけでも参加しようと思ったら、もう定員オーバーで入れなかったという人もいた。また、行ってはみたものの、あまりに画一的で子どもが馴染めずに、一日で辞めてしまったという話も聞いた。

 なんだか、息苦しくなってくる。ただ、子どもに合ったご縁を見つけたいだけなのに、こんなにキューキューになるなんて。ウワサに踊らされて、気持ちがフラフラ揺らぐなんて。この年になってこんな思いをするなんて、思ってもみなかった人が多いだろう。

 それでも、私の周りのママたちは、幼稚園お受験の波に積極的にどっぷりつかっている感じではない。どちらかというと、ちょっと引いて見つつも、子どもに変なプレッシャーがかからないのであれば、親がちょっとがんばるくらいならいいか、という温度だ。