2児の母でもあり、野村総研のコンサルタントとして活躍する武田佳奈さんが、「家事代行サービス」について、調査データや自身の経験を基に分析する本コラム。前回の記事「家事代行 頼む前に何をお願いするかを明確に」では、家事代行サービスの種類や利用する際のポイントを紹介した。今回は、サービスをまだ利用したことのないユーザーの本音、また、利用経験者の本音をふまえて、家事代行サービスの効果を考えてみた。

 家事代行サービスの利用未経験者を対象に、利用しない理由を聞いてみると、次のような結果が出た。

(出所) 2010年経済産業省「家庭生活サポートサービス産業についての調査事業」の中でNRIが2011年1月に25歳~44歳までの女性2,000人に対して実施した「家庭生活サポートサービスの利用に関するアンケート調査」の結果。
 2014年はNRIが2014年5月に25歳~44歳までの女性1,000人に対して実施したインターネットアンケート調査の結果。
(注)それぞれの調査の母数が異なるため単純には比較できない

 2010年と2014年の結果を比較すると(注)、いずれも最多の約6割が回答したのが、「価格が高いため」だった。次いで多かったのが、「家族内で対応できており、サービスを利用する必要性を感じないため」(52.0%/2010年、27.9%/2014年)、「他人に家の中に入られることに抵抗があるため」(42%/2010年、29.4%/2014年)、「他人に家事等を任せることに抵抗があるため」(25.5%/2010年、18.3%/2014年)という3点だ。

  価格に次いで、心理的な抵抗感が利用しない理由となっていることがうかがえる。ただし、心理的な抵抗感については、いずれもポイントが2010年から2014年にかけて大幅に低くなっている。このことから、家事代行サービスへの心理抵抗感は年月を経て和らいできていると見ることもできる。
 また、「セキュリティ(破損、盗難、プライバシー情報の漏れ等)に不安があるため」は17%(2010年)、14.4%(2014年)と、セキュリティ面を不安視する回答も少なくない。