共働き子育て支援 うれしいのは「満足感の実感」

  私は、これまで“負担軽減支援”が中心であった共働きの子育て支援において、次に求められるのは“満足感の実感支援”なのではないかと思う。それは、例えば「母として家族に(理想的には)こうしてあげたい」という想いの実現を、限られた時間の中でどうサポートできるかだ。

 これまでは、「家事に(限られた時間の中の)多くの時間が費やされている」事実から、「家事の負担をできるだけ軽減したい」というニーズが生まれ、家事代行サービスがそれに応えてきた。

 だが実際、家事代行サービス利用者の声を聞くと、 「子どもにもっと絵本を読んであげたい」「子どもに栄養満点のごはんを食べさせてあげたい」「家族だんらんの時間をもっと増やしたい」……という家事の省力化を超えた、子育てや家族時間、生活そのものを充実させたいといった心理を満たすことにも寄与していることが見えてきた。

 今後、その効果がもっと具体的に示されれば、「わが家には必要ない」「家事は家族がするものだ」と感じているユーザーの心理にも変化が表れるかもしれない。

  家事代行サービスを利用するのは決して安くない。ただ、「何だか思い通りの日々を過ごせない」「理想の両立生活、理想の子育てとかけ離れている」…という苦しいときを乗り切るための一つの手段としては、有効であると言えるのではないだろうか。

 政府は、女性の活躍推進の一つとして、幅広い層が安心して家事代行サービスを活用できる環境の整備に着手した。家事支援サービスが、仕事に家事に育児に奮闘するDUAL世代にとってより身近になる日を期待したい。