「便利だろうけど頼みづらい」…その背景にあるのは「他人に任せる不安」

 仕事柄、数年前にこのサービスのことを知り、それなりに知識があった私でさえ、自分が家事代行サービスの利用開始を決意するまでに3年かかった。価格も大きなハードルであったし、自分が不在の自宅に他人が入ることにはとても抵抗があったのも事実。
 鍵を預けるときには、「管理方法をもう一度教えてくれ」と往生際悪く尋ね、初めての不在宅でのサービスの日は「帰宅したら家財道具一式なくなっていたらどうしよう」と不安に思ったほどだ。

 前述の調査で、サービス利用経験者にヒアリングしたところ、下記のような声が上がった。 やはり、経験者とはいえ、利用開始時には、鍵の管理や自宅に他人が入ることに対する不安感を抱いていたようだ。

(出所)NRIが2014年5月に実施したヒアリング結果

利用経験者 うれしかったのは、子どもとの時間が増えたこと

 保育所や学童の充実、柔軟な働き方の実現、家事や育児を支える商品やサービスの出現。ワーママを支える環境づくりは急速に進んでいる。多くの人とモノとサービスに支えられて毎日を過ごしているが、どこかで漠然と「これでいいのかな」という思いを抱く人も少なくない。

 2児を育てながらフルタイムで働くAさん(30代)は、昨年から家事代行サービスの利用を始めた。お願いしているのは、週に一度の料理の作り置き。2人目出産後、職場復帰してから日々の家事負担が増え、仕事と家事に追われて子どもとの時間がなくなり、「達成感のない日」が続いたという。そこで、 これまで他人に手伝ってもらうことに抵抗感があったものの、日々の家事の中で「一番しんどくて、自分が不得意な料理」をアウトソースすることにした。