男女雇用機会均等法の第一期世代として、「働くこと、生きること、子ども」をテーマに、約20年以上保育問題を取材してきた、ジャーナリストの猪熊弘子さん。「ベビーシッター事件には今の日本で子育てをする人が抱える問題がすべて凝縮されていた」と指摘した前回記事「猪熊弘子 働けなかった女達からの羨望」に続き、DUAL世代の子育て論について聞いた。

最近の共働き夫婦は、育児・家事の「平等な分担」に固執し過ぎでは?

 猪熊弘子さんは、最近の働くママ&パパと話をするにつけ感じることがある。

 「今の共働きの夫婦は、育児と家事を夫婦で完全に半分ずつ分担するべき、という理想論にとらわれ過ぎなのではないだろうか?」(以下、すべて猪熊さん)

 「例えば、授乳さえも50:50で分担するために母乳をやめて粉ミルクに切り替える、という夫婦の話も聞きました。私に言わせればそれはファンタジーですよ。子どもを産めない、母乳も出ない父親が、母親の育児を半分も軽減できると考える時点でおこがましい(笑)。どんなにやったつもりでも2割だと思う」

 「不毛な努力をするくらいなら、妻のケアにもっと力を入れてほしいんです。パパのための勉強会と称した交流会が増えていますが、飲み会をしている暇があったら妻が喜ぶモノでも買って早く帰ってほしい、というのが本音」と手厳しい。「イクメン幻想」にとらわれ過ぎて理論武装ばかりして、かえって妻の足を引っ張る場合もある男性に対して、猪熊さんは緩やかに警鐘を鳴らしていきたいと考えている。

 「『父親同士』ということでつながるなら、むしろ住んでいる地域を中心にした方がいい。かつての地域コミュニティーが崩壊し、隣近所で子どもを預け合い、支え合う関係も少なくなった今、仕事とは無関係で利害関係のない地域のコミュニティーに父親の居場所があることは、いろいろな意味で重要です。以前よりはパパ達の参加は増えているものの、保育園の行事や地域の会合などに参加するのは、どうしてもママ達が中心になりがち。パパ達は意識しないと地域に居場所を確保するのが難しいものです」

猪熊弘子さん
猪熊弘子さん

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