羽生 やはりそれは、内閣人事局という組織ができたからこその新しい動きなんでしょうか?

定塚 内閣人事局ができて国家公務員全体に通じる採用昇任等基本方針を立て、そこでも経験者や多様な人材を活用しましょうということを方針として立てています。人事局が働きかけ、各省を巻き込んでやっていきましょうということです。古い発想だと係員からスタートして自分の省庁の色に染めたいと言う発想になりがちなんですが、そういうことじゃなくて外の経験をしている方。特にダイバーシティの1つとして女性も強く意識してやっていきたいと思っています。

働く環境の整備に全力、「長時間労働は当たり前」の常識を変える

羽生 企業の女性活用や登用もまだ現場では始まったばかりではあると思うのですが、官公庁での女性活用はいかがでしょうか?

定塚 これまでも採用試験で女性の割合を3割に、課長補佐級は10%、課長・室長管理職は5%、局長・審議官級の指定職は3%を女性にしましょうという目標はありました。総合職試験からの採用はこの春でも26%とかなり多くなっているのですが、これまではあまり強力に推進できていませんでした。今回は各省の事務次官級の協議会を作って、そのもとで、今、政府全体で何をやるかという指針を秋に向けて作ろうと検討しているところです。

羽生 どういった内容になるんでしょうか?

定塚 今、民間のトップ企業はかなり進んだダイバーシティ戦略を立てて取り組みをバンバン進めているので、官庁はもう完全に遅れていると感じています。民間企業のヒアリングもして先進的な取り組みを取り込んでやっていこうと思っています。

 もちろんこの数字もそうですが、重要なのはやっぱり働く環境の整備。特にワークライフバランスですね。女性だけではなく、男性も含めたワークライフバランス。長時間残業が多いのは改善していきたいと思ってますし、子育てが一段落したあとの女性の働きやすさなどもしっかり見ていきたいですね。

羽生 先日、日経DUALでも霞が関の女性官僚の方々の働き方の提言の記事を取り上げました。

定塚 ああいう提言もすごくいいですね。ほかにももっと広く女性の若手職員の声なども各省から出してもらって、直接悩みごとを聞いてやっていきたいなと思ってます。

羽生 DUALでも、霞が関のキャリア官僚の方の話ということで、別世界の話に聞こえてしまうのではないかと心配もしたのですが、ホントによく読まれて、Facebookでもすごい勢いで「いいね!」がわーっとついて、シェアされました。やはり働く女性で同じお母さんということで、みなさん同じような悩みや乗り越えなければいけないもの、やりがいは同じなんですね。官庁のほうが民間企業にもヒアリングをされるというのはとても嬉しいです。