2020年をめざして住宅・不動産業界が動き出した

 東京オリンピックが開催される2020年に向け、新たな発想の住宅を開発しようとの取り組みが活発になってきている。五輪効果で住宅価格の値上がりが見込める地域もあるし、同年に省エネ基準のクリアが義務化されることなどが背景にある。

 例えば積水ハウスやミサワホームなど大手住宅メーカーでは、こぞってゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の開発を進めている。ゼロ・エネルギーハウスとは、高断熱な家と太陽光発電などを組み合わせ、発電量が消費電力量を上回り、年間のエネルギー消費量がネットでゼロになる家のこと。省エネ機器は補助金がもらえるケースもあり、各社では展示場などにゼロ・エネルギーハウスを展示して施主への採用を働きかけている。

 一方、マンションデベロッパーが注目しているのはやはり東京オリンピックだ。競技会場が近い湾岸エリアでは数百戸規模の大型タワーマンションの分譲が活発になっており、短期間で完売する物件も少なくない。液状化対策をはじめ、免震構造や制振構造の採用、備蓄倉庫の整備など、防災対策に力を入れるマンションが増えていることも、人気を後押ししているようだ。国土交通省が3カ月ごとに調査している地価動向でも、佃・月島や豊洲のほか、有明や青海・台場など湾岸の調査ポイントが軒並み3カ月前より上昇していることが分かった。今から6年後の近未来をめざして、住宅の性能や仕様も大きく変化していくことになりそうだ。

(文/大森広司、写真/佐藤久)