今の共働き世代は、どんな考え方やライフプランを抱いて、住宅購入や家計管理をしようとしているのでしょうか? ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏が、レッスン・相談に訪れる人たちの等身大の姿をリポートします。

 前回の記事「賃貸派の夫婦が6000万円の家を買うワケ」では賃貸派から購入に転じた高橋夫妻(仮名)を紹介した。以下、ご夫妻の状況をおさらいしたい。

■年収:夫婦合わせて1050万円
夫(39歳):750万円 国内大手メーカー子会社・SE
妻(38歳):300万円(時短勤務中・育児休暇から復帰して半年) 大学職員・経理

■資産
現在の貯金額 1500万円
毎年の貯金額 200万円(出産前、奥さまのフルタイム勤務時は300万円ぐらい)

■家庭の状況
結婚5年目。2歳の女の子が1人。もう1人欲しいと考えている。子供は中学か高校から私立に通わせたい

■住居
東京・新宿区にある家賃15万円の賃貸マンション。家賃補助3万円で実質負担は12万円

■購入プラン・相談内容
東京都内で夫婦とも通勤で便利な場所に一戸建ての取得を検討中。予算は6000万円くらい。自己資金と親族の援助で頭金が2000万円、住宅ローンは4000万円以上になる見込み。当初想定していた予算をかなりオーバーしてしまうが、買っても大丈夫か

 前回の相談内容は以下のとおりだ。

 賃貸派から購入に転じた理由として、運悪く質の悪い賃貸物件に引っ越してしまい、今後質の良い賃貸に引っ越して家賃が増えるぐらいなら、同じ額をローンの返済にあてても大差が無いと考えたことがきっかけだという。

 しかし、4000万円以上の借り入れをしてしまって本当に大丈夫なのか奥さまには不安があり、まだ購入を決断できていない。住宅を購入すれば奥さまが定年退職まで働き続けて今と同等以上の収入を得なければいけなくなり、それが本当に可能なのか不安があるからだという。そこで「今後賃貸で暮らし続ける場合、家賃が3万円アップ程度で収まるのであれば引っ越してしまってもいい。節約で十分穴埋めは可能ではないか」と、まずは賃貸についてアドバイスした。

住宅購入と私立進学が合わさると「破綻コース」

シェアーズカフェ中嶋(以下、中)「賃貸であればさほど問題はないと思いますが、問題は住宅を購入した場合ですね。ざっくりと説明するなら、『破綻コース』ではないけど決して楽でもない、という状況です。家賃補助が無くなって毎月のローン返済額をざっと20万円と考えれば、毎月の負担は7万円以上増えます。固定資産税や改修費用の積み立てなども考慮すれば実質的な負担は年間で100万円以上増えます

「100万円ですか……結構な額ですね」