親子ミュージカル観劇を勧める5つの理由

 まずは、エンタテインメント百花繚乱の現代に、なぜ子連れ外出の選択肢として「ミュージカル」をお勧めするのか、5つのポイントをまとめてみた。

(1)生の舞台の魅力

 バーチャル体験が当たり前のようになっているこのごろ、生の舞台には映像などでは決して味わえない迫力や説得力、贅沢さがある。感動もそれだけ大きい。

(2)ミュージカルならではの入り込みやすさ

 歌や踊りが好きな子供たちにとって、ミュージカルは抵抗なく引き込まれるジャンル。観客参加型の作品では、親も気が付けば童心にかえって一緒に口ずさんでいる……ということも。

“観客参加型”ミュージカルの『魔法をすてたマジョリン』(撮影:阿部章仁)。主人公マジョリンが絶体絶命のピンチに陥るが、彼女を救えるのが“みんなの歌声だ”ということになり、客席が一体となって歌う。
“観客参加型”ミュージカルの『魔法をすてたマジョリン』(撮影:阿部章仁)。主人公マジョリンが絶体絶命のピンチに陥るが、彼女を救えるのが“みんなの歌声だ”ということになり、客席が一体となって歌う。

(3)「人生」「世界」「多様性」を自然に学べる「お得」な総合芸術

 作品が描く世界は多岐にわたるので、多様な文化を知り、寛容さを身につけるのにも役立つ。愛、勇気、友情の素晴らしさなど、人としてあるべき姿を自然に学べる。

 またミュージカルは演劇、音楽、ダンス、美術、文学と多くのジャンルが融合された総合芸術であるため、知的好奇心や想像力が大いに刺激される。一度に様々なジャンルに触れられるという“お得”感もある。

『赤毛のアン』(劇団四季)では数々のエピソードがテンポよく描かれ、子供たちもアンとともに人生の悲喜こもごもを体験できる。
『赤毛のアン』(劇団四季)では数々のエピソードがテンポよく描かれ、子供たちもアンとともに人生の悲喜こもごもを体験できる。

(4)“記憶に残る”親子のイベント

 ミュージカルはインパクトの強いライブ体験であるだけに、子供の胸に長く刻まれ、成人後も「ママと観たあのミュージカル、楽しかったな」と覚えているケースも多い。親としては投資のし甲斐があるエンタテインメントなのだ。

 東京で無期限ロングラン中の『ライオンキング』なら、毎年子供の誕生日に観に行くという利用法も考えられる。年齢に応じて子供の感想や疑問点が変わってくるので、親としては子の成長も実感できるはずだ。『ライオンキング』なら親子でサファリ・ファッション、『美女と野獣』なら娘にお姫様ドレスを奮発、など作品世界にちなんだファッションが楽しめるのも観劇ならではの良さだろう。

(5)インドア型エンタメとしての安心感

 劇場に着いてさえしまえば天候に左右されず楽しめるので、「せっかく大荷物を持って移動したのに雨天中止……」といったショックを味わわずに済む。

 こういった魅力があるミュージカルは、一度行くとやみつきになってしまうファミリーも少なくない。

 では、ミュージカルを親子で楽しむ場合、事前にどんな準備が必要だろうか。

 気負う必要は全くないけれど、以下のことを把握した上で実行に移すのと移さないのとでは、当日の楽しさも大きく変わってくるかもしれない。