忙しいDUAL世帯に向けて、投資の基本を説明する「金持ちDUAL、貧乏DUAL」。前回までは「株式の投資信託」について解説してきたが、今回からは債券を使った投資について考える。
 債券とは国や企業が発行する借入証書のようなもの。単独の債券も売買できるし、たくさんの債権を投資対象にした投資信託もある。債券の投信は、株式の投信と違って、「値動きの変動が小さく、景気の低迷時にかえって上がりやすい」という特徴がある。将来の教育費や住宅購入などに備えて堅実に投資したいDUAL世帯にとって、資産の一部に債券を組み込んでおく意味は大きい。
 しかし債券の値動きの仕組みは、かなりのエリートでも十分分かっていないことが多いようだ。まずは基本的な理解から始めよう。

 バブル崩壊後に日本株は低迷を続けたが、実は日本債券の指数に連動する投資信託(例えば三菱UFJ投信の「eMAXISシリーズ」、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTインデックスシリーズ」などにはそうした投信がある)を買っておけば資産は約2.5倍になった――。あまり知られていないが、これは事実だ(グラフA参照)。

 バブル崩壊後、日本の金利は基調としては下落をし続けていた。しかし、債券は金利が下落するほど、利益が出やすい。

 金利が下がるほど利益が出るのは、「債券の金利と価格は逆に動く」からだ。

 ただし債券は「なぜ価格が変化するのか分からない」という人が多い。なぜ「債券の金利と価格は逆に動く」のだろう。具体的な投資商品について考える前に、債券の値動きの仕組みを知っておこう。ここを理解しておくことで、なぜ債券を資産の一部に取り入れたほうがいいか、その意味が見えてくる。

「金利と価格は逆に動く」ってどういうこと?

 「日本国債の金利は上昇(価格は下落)」――。よくこんな表現が新聞に出てくる。

 しかし「金利が上昇するならたくさん利息がもらえるから、価格だって上がるはずなのにおかしいんじゃないか?」と不思議に思う人が結構いる。「金利と価格がシーソーのように逆に動く(図B)」という基本的な原理が分かりづらいようだ。

 実は一流企業のエリートサラリーマンでも、「債券の金利と価格は逆に動く」とやみくもに丸暗記しているだけで、なぜそう動くのか、わかっている人は多くない。まずは以下のようなイメージでしっかり理解しよう。

 そもそも債券とは何だろう。