1.数のユニットをたくさん覚えるようにする
 数のユニットとは、たとえば、10にするためには4だったら6、15にするには7だったら8というような、補数の練習です。
 また、「15分が4つ集まれば1時間だ」というような生活のなかでよく使う数字にも慣れておく必要があります。
 半分は1/2と同じ、1/8は0.125というような分数と小数の関係は、ぜひとも子どもに覚えさせてください。
 45度の扇形の場合、45/360を約分してやっと1/8が出せる子と、45度がすぐに1/8とわかる子では、当然ながら、スピードと正確さが大きく異なります。
 ぜひ身につけておきたい数のユニットは下記を参考にしてください。

●10になる補数……1と9、2と8、3と7、4と6、5と5
●15になる補数……1と14、2と13、3と12、4と11、5と10、6と9、7と8
●15の倍数(これを覚えておくと、15分の2倍は30分、4倍は1時間……を素早く理解できます)
●25の倍数
●45の倍数
●2の累乗……2、4、8、16、32、64、128、256、512、1024(このあたりまで)
●3の累乗……3、9、27、81、243、729(このあたりまで)
●1/8=0.125
●3/4=0.75

2.数字の短期記憶の訓練も効果的
 数字を短時間頭のなかに留めておく「短期記憶力」(作業記憶力)を鍛えておくことは、スピードと正確さ両面において非常に有効です。数字の写し間違いによるミスがある場合はなおさらです。
 これは、短時間のうちに記憶された数字が別の数字に入れ替わってしまうという、子どもにはよくあるミスですが、短期記憶力を鍛えることで、簡単に改善できます。

 その方法には、2ケタ×1ケタの暗算訓練を用います。
 お母さんは、適当に思いついた2ケタと1ケタを子どもに投げかけ、子どもはそれを書き取らずに頭のなかだけで計算する。たったこれだけのことですが、実際にやってみるといろいろな数字を同時に覚えておかなければいけないことに気づかされるのではないでしょうか。元の数字、繰り上がった数字、繰り上がったために増えた数字……。ぜひやってみてくださいね。

3.暗算と筆算とのバランスを取る
 計算ミスがあるからと、何から何まで筆算を要求するお母さんがいらっしゃいますが、それは間違いです。大切なのは、暗算の正確さを高めることです。
 暗算と筆算のバランスは、子どもごとに異なります。2番目に挙げた「2ケタ×1ケタ」の暗算訓練が進んでくれば、これも暗算の範囲に入れることができるようになります。

慣れて、理解できて、初めて脳に定着する

 数字の訓練について、もう少しお話ししましょう。