結婚や出産を機に退職し、専業主婦として働いていた女性が再就職を考えるとき、「起業」も一つの選択肢となる。ただ実際には「起業なんてとても……」と二の足を踏む人も多いだろう。しかし、最近は昔と違い、気軽に起業にのぞむ女性も現れ始めた。起業を考える女性達を支援する実践講座を持つ関西学院大学「ハッピーキャリアプログラム」で学ぶ女性達の様子、そして実際に起業した修了生達の話を3回にわたり紹介する。

 関西学院大学では、出産・育児による退職からの復帰を考える女性を支援する、実践講座「ハッピーキャリアプログラム」を2008年から行っている(「就職率8割以上 大学が磨き直す主婦の底力」参照)。この講座の特徴の1つに、開講当初から「起業を考えている女性」を支援する講座を用意した点がある。

 「ただ、受講生が考える起業の中には、従来の『起業』のイメージとは異なるケースも目立つ」というのはハッピーキャリアプログラム全体を管轄する関西学院大学専門職大学院准教授の大内章子さん。 「人生をかけた挑戦」ではなく、気軽に始める、いわば「甘い起業」が多いというのだ。

 大内さんによれば「これは悪いことではない」という。

主婦の目線で独自のアイデアをビジネス化

 ハッピーキャリアプログラムでは、受講者達に半年かけてキャリアデザイン、モチベーション・マネジメント、企画・経理・営業・管理などの専門スキルを教える。受講者は出産・育児が理由で退職した女性や、育児休業中にスキルを獲得しようと考える女性などだが、講座を始めたときから、起業を考えている人の受講を想定していた。

関西学院大学の大内章子准教授。自身も小学生の姉弟の母でもある
関西学院大学の大内章子准教授。自身も小学生の姉弟の母でもある

 大内さんによると「受講者は、育児休暇中の人を除くと、最初から自身のキャリアの方向性を決めて来ているわけではない」。彼女達の半数は再就職と起業の両方を視野に入れている。「おぼろげながら、やりたいことやアイデアを持っているんですね」

 彼女たちは、ビジネスプランを立てる講座などを経て、自分のアイデアが実現可能かどうかを見極めていくことになる。