それにしても、たった一言で「一生がんばれる」「恩を忘れない」とまで思わせるボスの言葉には、それを受けるメンバーのその後の働き方や仕事観を大きく変えるとてつもないパワーがあるということが、あらためてわかりました。

 前回までに紹介した発言集も含めて、イクボスとして慕われる上司の言葉に共通するものは何か考えてみたら、3つのキーワードが挙げられそうです。

部下の心に染みるイクボスキーワード1.Child First

 「子どもが何より大事で優先すべき存在」であることを明確に示す態度です。

 この気持ちがあれば、部下の子どもが熱を出した時にすぐに送り出す言葉が出て、フォロー体制もすぐに整えられる。部下の子どもの成長を共に喜ぶ言葉も出てきますよね(大変ですが、部下の子どもの名前と年齢も覚えられるとベスト!)。

部下の心に染みるイクボスキーワード2.Take it easy !

 子育て中の人は何かと気を張ってます。初めての育児となればなおさら。

 毎日いっぱいいっぱいのメンバーに、上司が人生の先輩として「自分のときも大変だったよ。でも、あと2年も経てばだいぶ楽になるよ」などとアドバイスをしてあげると、メンバーは肩の力が抜けて安心するものです。

 冷や汗タラタラで「すみません、急ですが早退を……」と申し訳なさそうな顔をしているメンバーにも、ゆとりを持って「大丈夫。何とかするから。こういうのはお互い様だから」と罪悪感を解消する言葉をかけてあげたいですね。「気楽にやろうぜ」の精神は、チームの結束力を高めます。

部下の心に染みるイクボスキーワード3.Partnership

 柔軟で働きやすい環境は、チームみんなでつくるもの。そして、育児や介護、看護、病気療養など、長時間労働に頼れない状況は、誰にとってもいつでも当事者になり得る身近な問題です。

 「お互いの状況を理解して、チームとして成果を出す方法を“一緒に”考えようぜ!」というメッセージを上司自ら発信することで、「育児中のメンバーが働きやすい環境づくり」=「みんなが働きやすい環境づくり」という共通認識が生まれます。

 この“一緒に”というのがポイントで、チームの一人ひとりがパートナーであるという意識を持てる上司がイクボスでしょう。

 いかがでしたか? 管理職の皆さんは、ぜひこの3つのキーワード「Child First」「Take it easy !」「Partnership」を胸に留めて、メンバーとの会話に生かしていただくといいと思います。では、また会いましょう!

※このアンケート調査は、2014年4月16~30日にインターネット上で実施。回答数121人。うち女性は74.4%。平均年齢38.5歳。

(ライター/宮本恵理子)