ということは、ある作業や仕事を始めていない人が「何も仕事をしていない状態」を維持しようとするのは当然のことなのです。そこから、「仕事をする状態」に移行するのは生物学的にも大変なことが容易に想像できるのではないでしょうか。私自身、これを知ってからは、やる気が出ないのも不思議なことではないと安心するようになりました。

この経験から言えることは、「はじめの一歩が一番重いのは当然」という認識を持つことです。だからこそ、その仕事に着手しただけで、目的の半分は達成できたと言っても過言ではないのです。
 また、人によっては書類や資料など、すべて万全の準備をしてからでないと始められないという人もいると思います。しかし、どんどん変わる状況の中で仕事をしているのですから、必要な資料や道具は途中で集めていけばいいのです。とにかく動き出す。とにかく取りかかる。走りながら、その仕事を完遂するために必要な武器を集める。これを意識するだけで仕事のスピードは上がってくるのです。

(理由その2)「作業興奮」という名の脳のスイッチを入れる
 学生時代を思い出してください。定期テスト直前、いざ勉強しようとしたものの、普段は気にならない部屋の散らかりが気になり、気がつくと長時間片づけをしてしまった、というような経験はないでしょうか。

 こんな行動をしてしまう原因には、テスト勉強をしたくないという逃避の心理があると考えられます。しかし、その一方で、たいして面白くもない片づけを1~2時間も夢中になってやってしまうのはなぜなのでしょう??

 じつは、そこに脳のメカニズムの秘密があるのです。やる気がなくても作業を始めると、脳内の側坐核(そくざかく)という部分が興奮してやる気が出てきます。これを「作業興奮」と言い、この脳の仕組みは予備校やコーチング等でも利用されています。
 ですから、たとえ仕事や作業にやる気がわかなくとも、とにかく取りかかることで「作業興奮」というやる気のエンジンが始動します。仕事に手をつけ、動き出すことが、「作業興奮」という集中モードに自分を誘うことを覚えておきましょう。

 習慣化コンサルタントである古川武士さんの著書『30日で人生を変える「続ける」習慣』(日本実業出版社)に次のような一節があります。

「複雑なものは挫折しやすく、シンプルなものは続けやすい」

 この言葉の通り、仕事の「初球打ち」を習慣化するためには、着手するまでの手間を減らしてシンプルにする「仕組み化」をしていけばよいのです。

もっとくわしく読みたい人は……

『仕事も家事も育児もうまくいく! 「働くパパ」の時間術』
栗田正行著/日本実業出版社

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