夜や休日の図書館。来館者がいない静かな図書館では、何が起こっているのだろうか? 考えただけで子ども達がドキドキワクワクしそうなそんな普段は入れない図書館に、代わりに大好きなぬいぐるみ達がお泊まりすることに…。いったい、どんな体験をして子ども達の元に帰ってきてくれるんだろう?

アメリカから始まったぬいぐるみお泊まり会

 昼間多くの人が出入りする図書館。しかし真夜中、寝静まったときには本達はどうしているのだろう? お話から飛び出した登場人物が歩き回っていないだろうか? 休館日には、どのようにして誰が本の整理を行っているんだろう?
 そんな子ども達と一緒になっていろんな想像が広がっていきそうな、普段とは違う図書館に、子どもが愛着を持っているぬいぐるみ達が代わりに泊まりに行くことができるという。

 アメリカの公共図書館から始まったと言われる「ぬいぐるみのお泊まり会」は、近年日本の図書館でも広がりつつある活動だ。活字離れと言われる子ども達に、ぬいぐるみが宿泊して図書館を探検するという疑似体験をさせることで様々な図書館の側面や役割を知ってもらい、図書館をより身近に感じてもらおうと開かれている。

 今回開催されたのは、東京・杉並区の中央図書館。以前、『アンネの日記』が全国の図書館で傷つけられた事件があった後に、改めてアンネの生涯についての企画展を開催した、地元密着型ながらも都内でも注目を集める図書館である。

 この図書館で初めて「ぬいぐるみお泊まり会」が開かれたのは、2012年の6月。杉並区では、6月は子ども読書月間と決め、子どもへの書籍紹介や読み聞かせイベントなどそれぞれの図書館で力を入れているそうだが、当時そのための企画を練っていた担当者がある講演会で耳にしたのがアメリカのお泊まり会の実施例だった。