結婚や出産を機に退職し、専業主婦として働いている女性が再就職を考えるとき、「起業」が選択肢になる。ただ実際には「起業なんてとても……」と二の足を踏む人も多いだろう。しかし、最近は昔と違い、気軽に起業にのぞむ女性も現れ始めた。

 前回(「女性目線で勝負!『甘い起業』がいい時代」)は再就職を目指す女性を支援する関西学院大学の実践講座「ハッピーキャリアプログラム」の責任者、大内章子准教授に「最近の起業」について話を聞いたが、今回と次回は実際に起業を果たした女性を紹介する。

 最初に登場する“起業家”は中学生と小学生の二児の母でもある金城貞美さん。「結婚していたからこそ起業に踏み切れた」という彼女に、起業した理由や苦労した点、将来の目標、家族の反応などを聞いた。

関西学院大学ハッピーキャリアプログラム
職場復帰を目指す育児休業中の女性、再就職・起業を目指す女性のための準備講座。2008年から開催されており、キャリアデザイン、モチベーション・マネジメント、企画・経理・営業・管理などの専門スキルを半年かけて学ぶ。これまでに115人の修了生がおり、そのうち約20名が起業を果たした。プログラムなどは記事「就職率8割以上 大学が磨き直す主婦の底力」参照。
http://www.kwansei-ac.jp/iba/happycareer/

家族を大切にしながら思いきり働くには……「自分でやるしかない!」

――まず、これまでどんなお仕事をされてきたのか教えていただけますか?

金城 大学卒業後に就職したハウスメーカーを、結婚退職したんです。

 でも、やはり外で働くのが性に合っていると思い、結婚後も派遣スタッフとしていろいろな仕事をしました。もともと興味があったインテリアを学び、インテリアショップのアクタスに入社。販売の仕事が向いていたのか、売上最優秀者として何度も表彰されました。

 私、負けず嫌いなので、どんな仕事でも結果を残さないと気が済まないんです。でもやりきってしまうと、次は何を目指せばいいのか、モチベーションを保つのが難しくなってしまうんですよ。

 その後、インテリア事務所で働くことになって、モデルルームを担当していましたが、私がどれだけがんばっても、それは事務所の成果であって、自分の名前は残らないことに寂しさも感じていました。

 また当時は子どもも小さかったので、夕方、保育所に子どもを迎えにいかないといけません。始業時間前に出社して、昼間は仕事をめいっぱいこなし、17時には電車に飛び乗る。仕事を家に持ち帰らざるを得ないことも多々ありました。この生活が本当に辛くて、体調を崩してしまったんです。

 自分の名前でとことん勝負したい、家族も大切にしたい。それなら「自分でやろう!」と。

 両親ともに自営業の家庭で育ったので、両親から受け継いだ「自営魂」が燃えたのかもしれません(笑)。