この“継続的なアピール”が効き、上司に「子どもができた」と報告したときには、「で、いつ取るつもりなんだ?」と聞かれたという。

 当時、妻は保育士の免許を取るために、専門学校に通っていた。出産を機に一時休学していたが、復学するタイミングにバトンタッチする形で、井口さんが3カ月の育児休暇に入った。井口さんの担当業務的にも、一番負担のない時期を選んだという。

 満を持して取得した、育児休暇。「3カ月の主夫生活」を振り返って、井口さんは力を込めて言った。

「めっちゃしんどかったです!仕事のほうが、何倍もラク!」

毎日の食事作りがこんなに大変だとは…

――念願かなっての育休取得に、初めは「やるぞ!!!」と燃えに燃えていたという。子育てや掃除洗濯はもちろん、妻に代わって3食ご飯を作り、妻のお弁当も作る!と宣言した。しかし…この「食事作り」に、参った。

 「献立を考えるのが、こんなに大変だとは…全く予想していませんでした。朝ご飯とお弁当を作ったら、もうお昼のことを考えなければならない。離乳食が始まったばかりの生後8カ月の子どもに、何を食べさせればいいか。栄養面や、食べやすさも考えなければなりません。ようやく昼食を食べさせ終わったら、夕食の買い物に出かける時間。ああ、今日は何を作ろう…。こんなふうに、初めの1カ月間は食事のことばかり考えていました。当時はまず献立から考え、そのレシピに必要な材料を毎日買いに行っていたので、余計に大変だったのだと思います。1カ月経った頃から、今ある材料から献立を考えられるようになったので、毎日買い物に行かずに済むようになり、少し楽になりましたが…。こんな大変なことを妻は毎日してくれていたのかと、心から尊敬しましたね」