長谷川 そう、一緒に仕事をしていたクリエイターが作った言葉なんですけどね。これはイケル!言葉が強い!と思いました。それで作ったのが「イクメンクラブ」なんです。

――その時は、もう長谷川さんはお父さんでしたよね。やっぱり子どもが生まれたことが「イクメンクラブ」創設に大きく影響しているんですか?

長谷川 もちろん2002年に長女が生まれて変わった部分もあったんですけどね。   もうずっと前からいろいろ考えていたんですよ。

――子どもが生まれる前から「イクメン」構想はあったんですか?

長谷川 イクメンってわけじゃないけど、そもそも自分が大学生の時の卒業論文のテーマが『勤労女性の仕事観と育児観』でね。実は20年以上前から日本はそういう部分が課題だったと思うんです。で、論文を書くために当時、保育所に子どもを預けて働いているお母さん達にアンケートを取ったら、とにかく仕事と両立して子育てをすることが大変だという話が多くて。

 でも、その中で、もう一つわかったのが、お父さんが家事や育児に協力してくれている家庭は、お母さんのストレスが少なかったということなんですよ。

――へぇー、大学生の時にもう、そんなことを考えてたんですか! しかも、男性の育児参加ってまさに今の問題。なんでそういうことを調べようと思ったんですか?

長谷川 単純に昔から子どもが好きだったのが一番大きいかな。小学校4年生ときの夢が「立派な子どもを作りたい」。信じられないけど、もう子育てを意識してたんですね。    中学時代には「小学校の先生」を目指すようになって、大学は教育学部に進学しました。

――でも、先生にはならないで・・・

長谷川 そう、広告会社で働いていますね、今は(笑)

オヤジは短気で自己中心的。反面教師となった親に送った川柳

――長谷川さん自身が育った家庭はお父さんが育児参加をしていたんですか?

長谷川 それが、全然。オヤジは自己中心的で、短気で、ジャイアンツが負けると機嫌が悪い。とにかく母親に対してのあたりがきつくて、夫婦ゲンカもしょっちゅう。その夫婦ゲンカが嫌で嫌でしょうがなかった。それでも、通勤前に僕と妹を連れて野球の練習に付き合ってくれたり、子煩悩な面もあった。小さいころから子どもや教育ってものに興味をもったのはそんな環境で育ったからかな。 

――反面教師的な?

長谷川 確かに、反面教師。自分の結婚式で出席している両親に川柳を一つ贈りました。それはもう完全に両親への皮肉と自戒を込めたものでしたね。もちろん、感謝の気持ちも込めて。

――どんなものだったんですか?