ゆるやかに仕切りながら、徐々に個室をつくっていく

 子どもと暮らす家を考えるとき、避けて通れないのは子ども部屋の問題だ。個室をいつ与えればよいのか、部屋にこもらないようにするにはどうすればよいのかなどで、悩んでいる人も多いだろう。河崎さんは子ども部屋について、徐々に仕切っていく考え方を提唱する。

 「小さいうちは完全な個室ではなく、収納家具などでゆるく仕切ればいいでしょう。自立心を養うには自分専用の居どころがあればよいので、机と本棚のあるコーナーで十分です。また兄弟や姉妹がいる場合、小さいうちは1つの広い部屋をきょうだいで使うのがよいと思います。上の子の成長に合わせて最初は少しだけ仕切って、お互いのスペースに自由に行き来できるようにすれば、寂しくないでしょう。いつからどのように仕切るかは、親と子どもで相談しながら決めることが大切です」

 個室が必要になるのは小学4年生ぐらいからと言われている。勉強などに集中したり、友だちを呼んだりする機会が増える時期でもあるからだ。いつまでも兄弟・姉妹で同じ部屋を使っていると、自分の責任で掃除をする習慣が身につかない。個室を持つことで自ら部屋を管理することを学び、自主性が育つ。

 「ただし壁で完全に仕切る必要はありません。例えばカーテンやのれんのようなものだけでもいいと思います。昔から日本人は障子や襖で部屋を仕切り、ほかの人の声は聞こえない気づかいをして暮らしてきました。そうしてお互いを気づかうことで、社会性を身につけることもできます。今では音楽もイヤホンやヘッドホンで聴くことが多く、完全に仕切らなくても大丈夫なことが多いようです」

可動間仕切り収納で仕切った子供部屋のイメージ。小さい頃はゆるく仕切るなど、仕切りを使って間取りを変更できる
可動間仕切り収納で仕切った子供部屋のイメージ。小さい頃はゆるく仕切るなど、仕切りを使って間取りを変更できる

 子ども部屋のあり方は子どもの「育ち方」に影響を与える大切なテーマだ。親が一方的に個室を与えて管理するのではなく、親子で一緒に考えながら、望ましい部屋づくりを模索してみてはどうだろう。