片づけさせないスペースや落書きできる壁が知性を伸ばす

 幼児期の子どもの能力を伸ばすには、まず家の中に自分の居どころを確保し、自分で考えて片づける習慣を身につけることが第一歩といえる。やがて幼児期後期と呼ばれる小学校入学前後のころから知性の発達が重点課題となるが、この時期には逆に「片づけさせない」ことも重要になるという。どういうことなのか。

 「幼児期後期には、ブロックや積み木を使ってモノを組み立てたり、ダンボールハウスやおままごとなどの“お家ごっこ”で遊ぶことが多くなります。こうした行為は『構築遊び』とも呼ばれ、継続して物事に取り組んだり、考えたりすることの基礎となる大事な課程なのです。ところがこうした遊びを途中で中断させ、片づけさせてしまうと、それ以上は想像力が膨らみません。そこで構築遊びを翌日以降も続けられるように、家の中に何日も遊び続けていてもいいスペースを確保することが望まれます」

 遊びを継続して一つのモノをつくり上げることで、達成感を味わうことができる。そうした成功体験は子どもの忍耐力や独創性を高め、小学校に入ってからは毎日ドリルに取り組むなど、自分で知性を伸ばすことにもつながるという。

 とはいえ、散らかしたままにしておけるスペースを確保するのは、それなりに広い家でなければ難しいのではないか。そんな疑問に対し、河崎さんは首を横に振る。

 「わざわざ専用の部屋を用意する必要はありません。例えばリビングの一画にマットを敷いたり、背の低い家具で仕切るだけでも遊び続けてもいい場所『キッズコーナー』になります。あるいは階段の2段目に広めの踊り場をつくり、腰掛けることもできる『ステージリビング』をつくる方法もあるでしょう」

 知性を磨くには、「書いて表現する」ことも重要だ。そこでリビングなど家族の空間に、自由に描いたり消したりできる壁を設けることを、河崎さんは勧めている。

 「子どもが外で見てきたものや、学校などで分かったことなどを絵や文字で表現することが、国語力やコミュニケーション力を鍛えることになります。お父さんとサッカーの練習に行く前に、パスやゴールの仕方を図に描いてみると、よく理解できるでしょう。壁は黒板やホワイトボードでもかまいませんが、ガラス製の『ドラフトウォール』なら何度描き消してもきれいな状態を保つことができます」

室内のメッセージボードとしても使える「ドラフトウォール」。ガラス製で何度書いてもきれいに消せる。

このモデルルームでは、家族のコミュニケーションに使えるようキッチンとなりの和室に設置されている
室内のメッセージボードとしても使える「ドラフトウォール」。ガラス製で何度書いてもきれいに消せる。 このモデルルームでは、家族のコミュニケーションに使えるようキッチンとなりの和室に設置されている