転職エージェントのカリスマ、森本千賀子さんは2回の産育休を取得し、仕事に復帰した経験があります。今回は、前回記事「産休・育休中こそ『やりたいことリスト』を活用すべし」に引き続き、森本さんが産育休中にどう過ごしていたか、中でも「これをやっておいて良かった」と思うことを伺います。

母親学級、社内のママ友交流会で、ママ友の輪を広げる

 前回、産休・育休中に私がどう過ごしていたかをお話ししましたが、前回挙げた以外にも多くの時間を費やしたことがあります。それは「人と会う」こと。プライベートも、会社関係も。どんなふうにして会いに行ったかをご紹介します。

・【恩師や友人にひたすら会う】

 まず、産前休暇の2カ月弱の間は、何年も会っていなかった学生時代の友人や恩師に会いに出かけました。ほぼ毎日のようにアポイントを入れて、故郷の滋賀をはじめ、京都、大阪、仙台など、各地に散らばっている旧友を訪ね歩いたのです。近況を報告し合い、お互いに頑張っていることを確認し、とても充実した時間となりました。

・【「母親学級」で友達をつくる】

 「ママ友」づくりも出産前からスタート。一番活用していたのが、区や病院が主催する「母親学級」の場。妊娠中の体調管理、栄養、体操、出産の流れ、出産時の呼吸法などを学ぶ講座です。30人ほどの妊婦さんが集まってきていたので、世代が近く、気が合いそうな人に声をかけてみました。母親学級は何回か開催されますので、「次回、講座が始まる少し前に待ち合わせして、一緒にランチしませんか?」と誘うのです。

 出産を控えて不安も抱えている中、同じ境遇の友達が欲しいと思っている妊婦さんは多く、声をかけると「ぜひとも!」と快諾していただけました。

 そこからネットワークが広がり、講習の回を重ねるごとに仲良くなり、子どもが生まれてからもよく集まりました。特に仲良くなったママさんは5人ほど。「今回は○○さんの家で」というように、お互いの家を訪問し合い、情報交換や相談をしました。月齢が近いということは、同じ時期に同じ課題にぶつかるため、話し合える仲間ができたのはとても心強かったです。10年経った今も、メールのやり取りをするなどお付き合いが続いています。

・【社内での「ママ友」ネットワークを構築】

 産後は、社内にいる育児休暇中の社員達とも交流を持ちました。とはいっても、10年前の当時、会社による育児サポート体制はまだ整っておらず、「社内ママネットワーク」といったものもありませんでした。

 そこで、人事部に話を持ちかけて育休中の女性社員のリストをもらい、私から全員に連絡を取って集まる機会を設けました。集まってきたママは、社歴も部署も職種もバラバラ。けれど「子どもを育てながら、この会社で働いていく」という立場・課題が共通していることから、強い結び付きが生まれました。

 そして月2回ほど、メンバーが持ち回りで自宅スペースを提供し、デパ地下のお総菜やお菓子を持ち寄って集まりました。もちろん、子ども連れ。参加者の顔ぶれは毎回入れ替わっていましたが、多いときでは20組の母子が参加しました。

 メンバーは部署も職種も異なるので、それぞれ持っている情報も異なります。このママネットワークを通じ、それまで知らなかった会社の内情を色々と知ることができました。

 もちろん、復職後もこのネットワークは継続。たまに会合を開き、1泊2泊の旅行に出かけたりもしました。

 ママネットワークのメンバーとは、ビジネス面でも連携し、助け合っています。「こういう課題を抱えているんだけど、いい資料はない?」「あなたの部署の○○さんを紹介してほしい」なんて相談をしたり、お客様を紹介してもらったりもします。育休中に築いたネットワークが、復帰後のビジネスにとっても大きな財産となっています。