働き方や雇用制度の改革、女性の活躍推進…これらは安倍内閣の成長戦略にも盛り込まれているが、その政策を具体化していく役割を担う霞が関の中央官庁では、長時間労働は当たり前、残業を前提とした業務が当たり前になっていた。そんな霞が関の働き方・価値観を変えるべく、子育て世代の女性官僚たちが動き出した。

 霞が関(中央官庁)といえば永田町(国会)と並ぶ日本の政治・行政の中心地。男性中心、残業を前提とした業務、長時間残業は当然で「偉いこと」とする価値観…。さまざまな意味で日本を象徴する場所でもある。そこで働く官僚たちの働き方も、ニッポン社会の縮図でもある。

前日夕刻に届く国会質問、官僚たちは夜を徹して答弁を作る

 例えば国会の開会期間中、国会議員の質問に対して答弁を作成するのは、通常は中央官庁の官僚たちの仕事だ。大臣が当意即妙に答えるわけではない。

 通常、国会議員からの質問内容が通告されるのは、質問日の前日夕刻。18時頃になることが多いという。各省庁で内容を確認し、担当者を割り振りするのが21時頃になる。そこから答弁案を作成、関係部局で協議、必要によっては他省庁や首相官邸とも調整し、答弁内容が固まるのは深夜0時。さらに資料を作成したり、印刷したりするなどして、答弁が完成するのは午前3時半頃になる。これでようやく担当者が退庁する。

 これでもまだ終わりではない。3時間半後、当日の朝7時には答弁者へのレクチャーをしなくてはならないのだ。始発で帰宅、シャワーを浴びて着替えてすぐに登庁することも珍しくない。

 国会開会期間以外でも、短期間での対応が求められる作業などに追われる。残業で終電近くになることはざらだ。これでは子育て中の職員にとても勤まる仕事ではない。