あるクラスでは、水筒を班ごとに分けて箱に整然と入れているが、隣のクラスでは1つの段ボールに全員が突っ込んでいる。紐がからまって、取り出しにくそうだ。また別のクラスでは、棚に水筒がバラバラと置かれている。奥の水筒を取ろうとして、前の子の水筒を落としてしまう可能性が高い。実際、「保冷水筒を落とされて、中が割れた」とぼやいていたお母さんがいた。

 日々のトラブルに気が付かないのか、変えるという発想が湧かないのか。その小さな改善をする時間が取れないほど、忙しいのか。いや、それ以前に、経験の浅い教員を助ける学年組織がしっかりしていないのではないだろうか……いかんいかん、また校長モードに入ってしまった。

 ふと娘を見ると、姿勢が崩れて大あくびをしている。夕べ布団に入ったのは22時過ぎだった。わかってるんです、「早寝・早起き・朝ごはん」! 担任の先生、すみません!

「帰ってこない」イライラ初体験

廊下で息子がままごとを始めてしまい、寝室への通路を封鎖された娘。22時ごろに帰るとかえって子ども達のテンションを上げてしまい、寝かしつけに失敗する
廊下で息子がままごとを始めてしまい、寝室への通路を封鎖された娘。22時ごろに帰るとかえって子ども達のテンションを上げてしまい、寝かしつけに失敗する

 給食まで見届けてから、家に帰る。未だに、娘は学童保育待機中だ。ふだんは義父に迎えに来てもらうか、保育園時代の友人宅、夫にパートを休んでもらうなどの手を尽くして何とかしている。放課後の生活リズムが安定しないので、宿題や夕食のペースが乱れがちなのも悩ましい。

 今日は、私が娘を待ちながらテレワークで仕事を片付ける。今年から大阪市が取り入れた仕組みだ。このシステムを上手に活用することで、子育てと教職員業務の両立はもう少し楽になるのではないか。そう思って、率先して使っている。校長あてのメールを処理し、時計を見ると下校時刻から30分も過ぎている。自宅は、学校から子どもの足でも5分だ。

 胸がざわざわしてきて、思わず自宅を出て学校に向かう。道の途中にはいない。ここで、下手にすれ違うと娘は留守の家で途方に暮れることになる。ひとまず、戻っておこう。