父親が積極的に育児に参加できる環境を提供

 2)の「ファミリー・フレンドリー」とは、家族で育児に取り組むことを推進することです。

 韓国では、2007年に「家族親和社会環境の造成促進に関する法律」を定め、両性平等的な社会文化の形成を推進しました。つまり、男性をいかに育児に参加させるための施策です。

 たとえば「父親休暇」では、配偶者が出産した場合、出産日から3日は有給で休暇が取得でき、さらに無給で2日の休暇が認められています。また、子どもが満8歳になるまで、時期と期間を自由に決めて、1年まで育児休暇が取得できる制度も用意されています。休業中は休業前賃金の40%が支給されますが、同じ子どもに対して2番目に育児休業を取得した人は、はじめの1カ月間の賃金が100%支給されるとのことです。

 2008年には、育児休業の代わりに週15~30時間に勤務時間を短縮する短時間勤務制度が導入され、満8歳まで最長1年間利用できます。2012年以降は、事業主に特別な理由がない限り、制度は義務化されるとともに、短縮した勤務時間に対しても育児休業給付が受けられることになりました。

 2013年には、本人が働く時間帯を選んで勤務できる「時間選択制雇用」を増やすための「時間選択制雇用活性化推進計画」が発表されました。一日の労働時間を4~6時間に短縮したうえで、労働者が自由に働く時間帯を選択でき、国民年金などの4大保険と福利厚生について正社員と同じ待遇を受けるというもの。これにより、短時間勤務でも正社員と同じ権利を受けることができるようになります。

 以上は職場におけるファミリー・フレンドリー化の動きですが、地域レベルでもファミリーフレンドリーな環境を構築すべく、いろいろな施策が用意されています。

 たとえば、家族問題を予防したり、相談を受けられるように、自治体には健康家族支援センター設置を義務づけています。図書館や学校を地域全体のファミリー・フレンドリーな空間に変えていくために利用するということもやっています。

 日本では、男性の育児参加を推奨しているものの、そのために労働時間の短縮化や休暇の取得、地域インフラなどの具体的な施策は用意されていないため、実際は女性だけに育児が任される状況のままです。韓国から見ると、かなり遅れている状況と言えるでしょう。