制度だけでなく、親自身が保育の質に目を向けるための施策も行っています。2009年に「保育電子バウチャー」を導入し、政府が支援する保育料をバウチャー形態で電子カードにチャージし、親が直接保育料を決済できるようにしました。これによって、国が子どもにどれだけの補助金を提供しているかに対する親の認識を高め、保育の質に関心を向けさせる戦略的な仕組みを作りました。

 保育インフラを拡充すると同時に、その効果が現れているかどうかをチェックする仕組みも用意しています。2005年には、保育サービスに対する効果的な質管理システムを整備し、親が合理的に保育所を選択できるように、保育所の評価認証制度を始めました。2008年以降、幼稚園はこの評価認証制度の受審が義務づけられていますが、保育所はまだ義務づけられておらず、2012年末までに認証を受けている保育所の割合は71.6%とのことです。

日本は保育の量や質をチェックする運営委員会も未設置

 2012年には、すべての保育施設に対して親が参加する運営委員会の設置が義務づけられるようになりました。委員会では、保育所の予算や決算報告書、乳幼児の健康、栄養、および安全に関する事項、保育時間や保育家庭の運営方法などを対象とし、親の代表がこれらについて意見を出し、決定する権限が与えられます。こうして、かけた公費が保育の質の改善に還元されていくということを保障する仕組みを作ったということです。

 韓国は、ただ財源をばらまくのではなく、財源が有効に使われる仕組みを作った上で、保育の財源を大幅に拡充しました。しかし日本では、保育に対する量や質をチェックできる運営委員会も設置されていないし、子ども・子育て支援新制度の財源確保にあたり、財源が有効に使われているかどうかをチェックする仕組みが用意されていません。

 2005年時点では、3歳未満の保育利用率は日韓ほぼ同水準でしたが、2012年には日本の25.3%に対し、韓国は62.0%に達しています。世界基準から見ても、保育に対して十分なお金が使われるようになりました。