母がいると子育てや家事から一歩引いてしまう夫に歯噛み

―― 同居生活で、「母・義理の息子」関係はうまくいきましたか。

坂東  母と夫は、お互いに遠慮して、ぎくしゃくすることも時折ありましたよ。だから、母との同居が完全にうまくいったとは言えないですね。

 母がいないときのほうが、夫は当事者意識を持って子育てをシェアしてくれたのですが、母がいると一歩退くというか、お任せになってしまいます。母に丸投げという夫の態度は、私にとっても癪に障りましたね(笑)。

 母は母で、義理の息子である夫があまり感謝してくれないという不満があったようです。それでも私は、母がいなかったらどんな修羅場になるかと考え、この程度で済むのならと母にも夫にも文句は言わず、何とかなだめ、とにかくこの体制を続けられるように努めました。どちらを攻撃してもいけないんですよ。

―― まるで上司にも部下にも気を使う中間管理職のようですね(笑)。

坂東 まあ、何とか大戦争にならずに済みましたね。祖父母と同居したり、育児を任せたりする場合、母親が要になってチームを動かしていかなければならない場合が多いというのが現状でしょう。

 私の友人にも、おしゅうとめさんに子どもを取られたと感じていた人がいます。子どもがおしゅうとめさんに懐いてしまって、母である自分をあまり必要としてくれないとね。

 私もいわば子ども達を母に取られていたんだけれど、でもそれが実母ではなくおしゅうとめさんだったらどんな心理状態になっていたか、分かりませんよね。

 私は四姉妹の末っ子。父以外に男手のない家庭で育ちました。周りからは跡継ぎがいなくてかわいそう、なんて母は言われていたみたいだけれど、娘でよかったと言ってくれました。自分自身、おしゅうとめさんに苦労していましたし、お嫁さんとおしゅうとめさんがうまくいかないという話を、色々耳にしていたんでしょう。

 私自身は母に子どもを取られたというよりは、母も私もお互いに幸せでよかったと思っています。私はちょっぴり寂しいけれど、母も子ども達もハッピーなのだから、いいんじゃないかと。母も子も幸せそうだったから、私自身は罪悪感を持ちませんでしたね。