BOP児童が帰宅した後の17時からの1時間は、学童クラブに登録した子どもだけで過ごすことになるのだが、この1時間は、宿題をしたり読書をするなど、静かに過ごす時間ということになっている。

BOP児童が帰宅する17時以降、学童児童は新BOP室1で学習・宿題・読書をするなど、帰宅に向けて静かに過ごす
BOP児童が帰宅する17時以降、学童児童は新BOP室1で学習・宿題・読書をするなど、帰宅に向けて静かに過ごす

 なぜ、そうなったのかというと、やはり親からの要望が強かったからだ。

 「やはり、学習のことで不安を持つ親御さんは多いようです。学童で元気に遊ぶのはいいけれども、宿題をしたり復習する時間があるとないのとでは、学習の定着がぜんぜん違うということを現場で実感していたんですね。しかし、学童では遊んでばかりで6時すぎまでいるとなると、帰宅してから晩ご飯を食べてお風呂に入ったら、あっと言う間に寝る時間になってしまいます。基本的には宿題などは自主的にするものとなっているのですが、やはり、低学年の子どもというのは、誰かが遊んでいるのに自分は勉強というのはなかなか難しいものです。結局、声かけしても宿題をやらないで帰ってしまう子どもが少なからずいたので、30分間だけは学習タイムにしようとなりました」(局長)

学習タイム導入は保護者会で決定、親子で会話の時間も増えた

 保護者の総会で提案したところ、保護者からも同意を得られたため、この学童クラブでは最初の30分を「学習タイム」、残り30分を「読書タイム」と呼んで積極的に声がけをすることにしたのだ。すると、子どもたちの意識も変わり、自主的に学習したり読書をする時間として定着するようになったのだという。

 親の評判も良いようで、「『どうして宿題やってこなかったの!』などと、親としてはついつい余計なことを言ってしまって、子どもと感情的にぶつかることがあったけれども、学童で子どもが宿題をやるようになってからは親子で会話する時間が増えたという話は聞きました。みんながみんなそうではないかもしれませんが、そういった声が多いですね」と、局長は言う。

 世田谷区の新BOPではスケジュール的には似た流れになるが、学校ごとに規模や雰囲気も違い、局長の色が出ているようだ。今回取材した学童クラブの評判は概ねいいようで、それは登録している学童児童の出席率が物語っていると言えるだろう。

 ちなみに、「学童がつまらない」と勝手に帰ってしまうケースがないか聞いてみたところ、今の局長が赴任してから3年間、一度もないとのこと。小学校の評判が、校長によって変わるのと一緒で、学童クラブおよびBOPも同じなのだろうか? やはり、学童クラブを見学させてもらい、実際に局長や児童指導職員に話を聞いて確かめてみるのが一番だろう。ちなみに、世田谷区ではすべての新BOPの連絡先が一覧表になってホームページに掲載されているので、わが子が通うことになる新BOPに一度、電話してみることをオススメしたい。

 2回に分けて、全児童対策と学童の一体化を推し進めてきた草分け的存在である世田谷区の新BOPについて紹介してきましたが、次は、昔ながらの学童保育の良さを守り続ける目黒区の学童「学童保育クラブ」を取材してきます。

(文・写真 國尾一樹)