こんにちは。武蔵野大学講師の舞田敏彦です。今回は、結婚に関するお話です。昔はお見合い婚が多かったのですが、現在では恋愛婚が主流になっています。よって今の結婚は、相思相愛の男女が生涯共に寄り添うことを誓約する営みであるといえます。

 なんかトロリとした気分になってきますが、結婚とは、相思相愛の感情だけに規定されるのではありません。家柄、学歴、職業、さらには年収…。パートナーの選択に際しては、こうした現実条件が暗に考慮されていることがしばしばです。いや、「スキ!」という感情そのものが、これらのような客観的条件に規定されているともいえます。

 「何てこと言うんだ」と思われるかもしれませんが、これもまた現実。今回は、その一端をデータで見ていただきましょう。別に悪趣味からではありません。わが国の男女(夫婦)関係、性役割規範の問題を汲み取っていただきたい、という意図を持っています。

 お見せするのは、男女の年収別の未婚率です。現在、未婚化が加速度的に進んでいますが、結婚しない(できない)のは誰か。こういう問題を考えることも必要になります。私の仮説はこうです。

稼ぎのない男性は未婚率が高い。女性はその反対である。

 身もフタもないことですが、腹の底ではこういうことを考えておられる方も多いのでは。データで検証してみましょう。総務省の『就業構造基本調査』(2012年度)から、男女有業者の年収別の未婚率を計算することができます。ここでは、30代後半の年齢層に焦点を当てます(私や皆さんの年代です)。30代後半男性の場合、年収400万円台の有業者は87万人、そのうち未婚者は22万人。したがって、この年収階層の未婚率は25.3%となります。このようにして各層の未婚率を出し、それらをつないだ折れ線グラフをつくってみました。青色は男性、赤色は女性の曲線です。

資料:総務省『就業構造基本調査』(2012年度)
資料:総務省『就業構造基本調査』(2012年度)

 不気味な「X」が描かれていますが、男性は年収が高いほど未婚率が低く、女性はその逆の傾向にあります。やはり、収入が少ない男性の未婚率って高いんだなあ。年収200万円未満のワーキングプア層だと、30代後半でも半分以上が未婚です。一方、女性の場合は年収が1000万円を超えると未婚率がグンと跳ね上がり、1500万円超のバリバリのキャリアウーマン層では7割が未婚です。男性とはエライ違いですね。