真夏以外も要注意! 梅雨時から9月にも食中毒は発生する
食中毒は暑い真夏に起こるというイメージがあるかもしれませんが、昨年の食中毒の発生状況を見ると、5~9月が大変多くなっています。まだそれほど暑くない梅雨時や、暑さが少し和らぎ始める9月も食中毒に要注意です。これから3カ月は特に気を付けるようにしましょう。
食中毒を引き起こす細菌には、さまざまなものがあります。代表的な4つの細菌は以下のとおりです。
●主に鶏などの肉にいるのが→カンピロバクター
特徴:牛・豚・鶏の腸管内などに存在。少量の菌数でも発症するが、熱や乾燥には弱い。主な症状は、下痢や発熱(平均38℃)、吐き気、腹痛など。
事例:汚染されていた鶏肉を生のまま食べたことにより、飲食店で発生。流通する鶏肉の半数以上が、カンピロバクターに汚染されているとの報告もあり、新鮮だからといって生で食べるのは非常に危険。
●生肉にいるのが→腸管出血性大腸菌
特徴:牛の腸管内に存在。少量の菌数でも発症。幼児が感染すると重症になる場合が。主な症状は、激しい腹痛や、血便の下痢など。
事例:調理従事者の手洗いや、調理器具などの使い分けが不十分だったため、食堂で食中毒が発生。生肉は腸管出血性大腸菌に汚染されていることがあるため、生肉を取り扱った後は、手洗いや調理器具の洗浄・消毒が重要。
●卵にいるのが→サルモネラ
特徴:牛・豚・鶏の腸管内などに存在し、少量の菌数でも発生。主な症状は、下痢、腹痛、発熱(38~40℃)、嘔吐など。
事例:食堂でオムライスによる食中毒が発生。大量の卵を割り置いて室内で保存していたことが原因で、半熟卵で調理したため、殺菌が不十分だったことが原因と考えられる。生卵は、冷蔵保存後、調理の際は十分な加熱が必要。
●魚にいるのが→腸炎ビブリオ
特徴:海水中に存在し、夏季に海水温度が上昇すると菌が増殖し、魚介類が汚染される。食中毒の発症時期は7~9月に集中。主な症状は、腹痛、下痢、嘔吐、発熱(37~38℃)
事例:イカの塩辛を入れたお弁当により、食中毒が発生。低温保存しなかったために、菌が増殖したことが原因だと考えられている。魚介類や加工品は、菌を増やさないように低温で保存が必要。
(参考:東京都福祉保健局 リーフレット「食中毒を防ごう!(平成26年2月改訂)」)
生卵は、以前は「殻が汚い」と言われていましたが、最近は殻が洗浄されていることが増えてきました。ところが、卵が卵管を通るときに、卵の中身が汚染されてしまい、卵1万個あたりに数個くらい汚染されている可能性があります。万一その卵を手にしてしまい、常温で置いておくと、細菌が増殖し、食中毒につながってしまう危険性があります。低温保存と、十分な加熱が必要です。